朝トイレに行ったら血便(鮮血)が出たら誰でもおどろきますよね。
「痔からの出血かな?」
「大腸がんだったらどうしよう」
「どの病院を受診したらいいんだろう?」
あわてて、スマホで「血便 何科」と検索した方も多いのではないでしょうか?
この記事では、「血便(鮮血)があったけど、何科を受診したらいいの?」という疑問を解決していきます。
この記事の内容
- 血便(鮮血)の原因は?
- 血便(鮮血)のときに必要な検査
- 血便(鮮血)のときに受診する診療科
- 『恥ずかしくないおしりの診察』
- 血便(鮮血)のときの病院を受診するタイミング
この記事の信頼性
この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。
埼玉県草加市にある、草加西口大腸肛門クリニックの院長です。
また、大腸と肛門の専門医であり指導医でもあります。
これまでに血便で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。
これを読めば、血便(鮮血)のときにどの病院を受診したらいいかが分かります。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
それでは始めていきましょう!
血便(鮮血)の原因は?
「今朝真っ赤な出血がありました、たぶん痔からだと思います」
とクリニックに多くの方がいらっしゃいます。
たしかに、血便(鮮血)の原因で一般的に多いのは、いぼ痔や切れ痔などのおしりの病気です。
ただ、大腸がんなどの命にか関わる病気の可能性もゼロではないため注意が必要です。
そしていぼ痔と大腸がんが同時に存在していることもあります。
40歳代男性、【いぼ痔+進行大腸がん】
先日、クリニックに血便(鮮血)を主訴にいらっしゃった方です。
- 40歳代男性
- おしりから飛び出てくる痔があり指で戻している
- 1週間前から血便(鮮血)あり、ポタポタとたれる
- 以前からトイレットペーパーに出血(鮮血)がつくことはあった
診察では、やや大きい内痔核(いぼ痔)がありましたが、
以前から出血(鮮血)があるとのことより、大腸内視鏡検査を計画しました。
大腸内視鏡検査では、肛門からすぐの大腸(直腸)に進行がんが見つかりました。
ポタポタ垂れる出血はいぼ痔からの出血ですが、
以前からあるトイレットペーパーに付くくらいの出血は、
大腸がんからの出血だった可能性があります。
日頃から痔があると、「痔からの出血だろう」と思うのが普通ですが、
実は同時に大腸がんも存在している可能性があることを忘れないでください!
血便(鮮血)のときに必要な検査
血便(鮮血)があったときに必要な検査は
・肛門鏡検査・・・肛門の病気を調べる
・大腸内視鏡検査・・・大腸の病気を調べる
の2つです。
『肛門鏡検査+大腸内視鏡検査』をすることによって、
血便(鮮血)の可能性がある場所を全て調べることができます。
なぜこの2つの検査が必要かについての詳細は以下の記事をご覧ください。
血便(鮮血)のときには何科を受診?
血便(鮮血)のときには、肛門と大腸の検査が必要です。
このため、受診する診療科は、肛門と大腸の診察ができる診療科になります。
クリニックや病院の診療科名について
クリニックや病院の標榜科(ひょうぼうか:どういう診療をしているかをかかげること)名は、
厚生労働省により2008年に見直しが行われています(文献1)。
2008年より後に開院した病院は新しい診療科をかかげていますが、
それ以前からある病院は見直し以前の診療科がそのままかかげられているため、
多くの診療科名が存在しているのが現状です。
肛門と大腸の診療ができる診療科一覧
では、肛門と大腸の診療ができる診療科はどれでしょう?
以下がその一覧です。
肛門と大腸の診療 ができる | ができる | 肛門の診療ができる | 大腸の診療
大腸・肛門外科 | 肛門外科 | 消化器内科 |
消化器外科 | 肛門内科 | 胃腸内科 |
胃腸外科 | 肛門科 | 内視鏡内科 |
(外科) | (外科) | 消化器科 |
胃腸科 | ||
(内科) | ||
(外科) |
基本的に外科系の医師は肛門診察もできることが多いです。
また、『肛門科+消化器内科』の様に標榜してれば両方の診察が可能です。
ただ、内科系の医師の中にも肛門診察ができる医師もいます。
詳細は各医療機関のHPをご参照いただくか、各医療機関にお問い合わせください。
ちなみに私が勤務している草加西口大腸肛門クリニックの標榜科は、
『大腸・肛門外科』で、肛門と大腸の両方の診察ができます!
血便(鮮血)の際にはどんな検査をするのかは以下の記事をご覧ください。
血便(鮮血)のときの恥ずかしくないおしりの診察
「どういうふうに診察をするのかが分からないので不安です…」
『おしりの診察』というとだれもが恥ずかしさと不安でいっぱいだと思います。
実際に問診の際にはこのような声をよくお聞きします。
草加西口大腸肛門クリニックでは、患者さんが恥ずかしくないようにプライバシーに最大限配慮したおしりの診察を心がけています。
当院でのおしりの診察の手順は以下のとおりです。
① カーテンの中で、ズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろして、診察台に横になっていただきます。
② おしりに清潔なシートをかけます。これで診察の準備が完了です。
③ 視診察(見て観察)をします。
④ 指診察(指で診察)をします。
⑤ 肛門鏡(こうもんきょう)で診察をします。
肛門鏡は下の写真のような小さな器械で、痔の様子などを詳しく観察できます。
⑥ 診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます。
おしりの診察のながれは以上です。
なんとなくイメージしていただけましたでしょうか?
診察時間は1〜2分程度です。
女性の診察の場合には、女性スタッフがすぐそばにおりますので、安心して診察を受けていただけます。
血便(鮮血)のときに病院を受診するタイミングは?
「朝、血便(鮮血)があったけど仕事や家事ですぐには病院に行けないよ…」
という方も多いと思います。
血便にかぎらず、病院受診のタイミングは非常に難しいです。
また、同じ量の血便でも不安や危機感の感じ方は人それぞれです。
私が日頃の診療で、お伝えしている病院受診のタイミングの目安以下のとおりです。
血便(鮮血)のときは、頻度的にはおしりからの出血のことがほとんどです。
しかし、おしりから近い直腸に大腸がんがあればやはり鮮血が出ます。
『血便はあなたの体があなたに伝えている危険のサイン』
ということを忘れないでください。
まとめ
ここまで記事を読んでいただきましてありがとうございました。
血便(鮮血)のときに、どの診療科を受診したらいいかおわかりいただけましたでしょうか?
本当は、肛門と大腸の両方の診察ができる診療科を受診するのがベストですが、
ただ、お近くに医療機関がないかもしれません。
その際は、肛門か大腸のどちらかを診察できる診療科を受診してみてください。
血便(鮮血)の原因の中には、あなたの命に関わる大腸がんの可能性が含まれています。
『血便はあなたの体があなたに伝えている危険のサイン』です。
医療機関を受診しない理由を探すのではなく、
まずは肛門や大腸の診療をしているクリニックや病院で相談をしてみてください。
この記事が、
- 皆様の健康維持
- 皆様の病気の早期発見・早期治療
- 皆様が大腸肛門科を受診する際の不安の軽減
これらのためにお役に立てれば幸いです。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)
草加西口大腸肛門クリニックのHPはこちら▶︎▶︎▶︎草加西口大腸肛門クリニック
引用文献
- 厚生労働省通知「広告可能な診療科名の改正について」