排便の際に、
- 便器の水が真っ赤になった!
- おしりを拭いた紙にべったり血がついた!
- 便が赤黒い!
突然こんな状況になったら誰でもびっくりして不安になりますよね。
「痔かな?」
「がんだったらどうしよう…」
いろいろな思いが頭をよぎると思います。
この記事では、「この血便の色だったらどんな病気の危険性があるのだろう?」といった疑問を解決していきます。
この記事の内容
- 血便と色の関係
- 血便の色から見た原因となる病気
- 血便があった時の病院受診のタイミング
- 血便の色から見た病気の解説
- 血便のときの診察や検査
この記事の信頼性
この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/a657f46f5bb00961adfae80d12e41b3d.jpg)
埼玉県草加市にある、草加西口大腸肛門クリニックの院長です。
また、大腸と肛門の専門医でもあり指導医でもあります。
これまでに血便や下血で悩む患者さんを10,000人以上診察していきました。
また、年間約1,000件の大腸内視鏡検査をしています。
これまでの経験をもとに本記事では、
痔や大腸がんをはじめとした血便の原因になりうる病気について詳細に解説をしていきます。
この記事を読むだけで、血便の色と病気の危険性がわかります。
血便はあなたの体の危険のサイン!
血便(出血)には、薄いピンク色〜あざやかな鮮血〜赤黒い色〜真っ黒まで、いろいろあります。
「痔が原因かな?」
と自己判断して血便を放置するのは大変危険です。
なぜなら、
血便は命に関わる大腸がんの可能性もあるからです!
血便はあなたの体が発している危険のサインです!
そのサインを見逃さないでください!
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
それでは始めていきましょう!
血便と色の関係
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/24030502-1024x614.jpg)
私のクリニックにも、「便に血が混ざっていたので、びっくりして来ました!」
とあわてて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。
問診ではいろいろなことをお聞きしますが、
私が必ずお聞きするのは、血便の『色』についてです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/9122c53716e5ab8ac3ebbbb3e1878c29.jpg)
血便といってもその色は、
- うすいピンク
- 真っ赤な鮮血(明るい赤色)
- オレンジ色
- 赤褐色
- 赤黒い色
- 真っ黒
とさまざまです。
また、色の表現は個人差が大きく判断が難しいです。
血便の際にはスマホで写真を撮ってください!
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/22488211-1024x614.jpg)
血便があった場合には出血の色や量を客観的に判断するため、
出血の様子を、スマホなどで写真を撮っていただけると診察の助けになります。
また、便に血液が混ざっているのか、いないのかという情報も重要になります。
血便と下血のちがいについて
『血の色』もさまざまなので、考えられる病気もたくさんあります。
血の色が『赤い』か『黒い』かで、おおよその出血している場所がわかります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/b735c531cf628f011e80f7272a576ebb.jpg)
出血して時間がたつと便に混ざる血は赤から黒になります。
このため、
- 赤い血(鮮血)は肛門に近いところからの出血
- 黒い血は肛門から遠いところの出血
となります。
そして、
- 便に赤い血(鮮血)が混ざっている状態・・・『血便』
- 便に古い血が混ざり便が黒くなっている状態・・・『下血』
といい、この2つは厳密に区別されます。
まとめると、出血する場所(臓器)と血便と下血の関係は以下の図のようになっています。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/6f077d4c8bef163e225eabbe4b570121-2.jpg)
※ご注意:今回の記事では便宜上、肛門から血が出ることを総称して『血便』と表現をしている部分もありますのでご了承ください。
血便の色から見た原因となる病気
『出血して時間がたつと便に混ざる血は赤から黒になる』
という、先ほど述べた大原則から、
血便の色と出血している場所(臓器)は関係があります。
そして、出血場所から出血の原因となりうる病気もある程度予測がつきます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/fd519c3c09e70ca002ab77b1890c330a.jpg)
診療の際には、血便の色の他に、
- いつから出血しているのか
- 出血の量
- お腹やおしりの痛み
- 便の状態
- 発熱の有無
- 出血の前にとった飲食物
- 海外渡航歴
- これまでかかった病気
- 飲んでいる薬があるかどうか
- 過去に同様の出血があるかどうか
などについて詳細におうかがいし、総合的に判断をしていきます。
血便の色と出血場所、考えられる病気を下の表にまとめました。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/27ad6293c5161f78fa64cc7f104d1cff-1.jpg)
中には「オレンジ色の便がでました」と来院される患者さんもいます。
正常な便の色は黄色〜茶褐色です。
赤色やオレンジ色の色素を含む野菜などの食べ物を食べると、
便の色がオレンジになる可能性もあります。
この場合は、原因となりそうな食べ物をやめると便の色はもどります。
食べ物をやめても便の色がオレンジ色のままの時は、血便の可能性もあります。
その場合は、放置せずに一度クリニックを受診してみてください。
血便があった時の病院受診のタイミング
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/09/201808010016-1-1024x683.jpg)
「突然の血便!どうしよう、病院に行った方がいいかな…?」
「1ヶ月前からトイレットペーパーに血がつくな…量は少ないから様子見て大丈夫かな?」
血便があった際に、あなたならどうしますか?
「病院に行こう」と思う人、「様子をみよう」と思う人、
さまざまだと思います。
血便に限らず、病院に行くタイミングは非常に難しいですよね。
同じ血便でも、不安や危機感の感じ方は人それぞれだからです。
そこで、血便があった時の病院受診のタイミングをお伝えします。
私が日頃患者さんにお伝えしている受診のタイミングは以下のとおりです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/806ea7daf140fdfd96a579ab7bc75e38.jpg)
出血を繰り返していなくても、「出血量が多い時」、「便の色が黒っぽい時」は病院を受診してください。
なぜなら、たった1回の出血でもその原因として大腸がんが潜んでいる可能性があるからです。
『血便はあなたの体が発している危険のサイン』
ということを絶対に忘れないでください!
血便の色から見た病気の解説
便の色と考えられる病気については、【表1】でまとめてあります。
ここでは血便や下血をきたす代表的な病気について、
出血の色を中心に分かりやすく解説していきます。
今回解説する病気は以下の11個です。
- 痔核(いぼ痔)
- 裂肛(切れ痔)
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 虚血性腸炎
- 感染性腸炎
- 大腸憩室出血
- 胃・十二指腸潰瘍
- 胃がん
1.痔核(いぼ痔)
「お腹もおしりも痛くないのに便器が真っ赤になりました!」
と不安になり来院される患者さんは多くいらっしゃいます。
突然の出血で最も多いのは、痔核(いぼ痔)からの出血です。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/897d962371743ec8e5ee4764c40f6373-1024x768.jpg)
肛門の内側にできる内痔核は、痛くもないし、おしりが腫れたりもしません。
一方で肛門の外側にできる外痔核は腫れて痛みが出ます。
痔核からの出血は真っ赤な色(鮮血)です。
出血量は、
- 紙につくくらい
- 便器にポタポタと落ちる
- シャーと勢いよく出る
など様々です。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/c76bab090dacd170f1517ee1d9e7d882-1.jpg)
内痔核は大きくなると肛門から飛び出してきて気づきます。
飛び出ると痛みが出ることもあります。
しかし、小さいうちは自覚症状はありません。
病院でおしりの診察をしてようやくわかります。
このため、自覚症状を伴わない突然の出血の原因となります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/da0126df6f6178f54173cead550b84d2-1.jpg)
いぼ痔は放置してもがんにはなりません。
生活に支障がなければ治療の必要はありません。
だだ、重要なのは『痔からの出血と思っていたら、実は大腸がんからの出血だった』
という事態を避けることです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/a0415844ff4a544a507e9b561b914bbe-3.jpg)
40歳以上になると大腸癌のリスクは増えてきます。
そのため、40歳以上の方で以前からいぼ痔があり出血をしている方は、
大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
まずはクリニックで相談をしてみてください。
2.裂肛(切れ痔)
切れ痔の患者さんの典型的なパターンは、
「数日前から便秘で、今朝無理していきんで硬い便を出したら、おしりに激痛があり出血した」
という状況です。
切れ痔は下の写真のようにおしりのふちから、1〜2cm奥の場所が裂けます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/ceda70c595e7aec2d6ca479a40eb65b0.jpg)
切れ痔からの出血は真っ赤な色(鮮血)です。
出血量は紙につくくらいの出血が多いです。
切れ痔もいぼ痔と同様で放置しても大腸がんにはなりません。
症状がなければ治療は必要ありませんが、痛みを伴う時は治療の対象となります。
出血が継続する方は大腸がんの可能性もゼロではありません。
出血や繰り返す切れ痔でお悩みの方は、一度クリニックにご相談ください。
3.大腸がん(直腸がん・結腸がん)
大腸がんは血便の原因の中で最も危険です!
先日クリニックにも血便で来院された方がいました。
- 60歳代男性
- もともと切れ痔あり
- 1年間からおしりから出血をしていたが、切れ痔と思って放置
- 1ヶ月前から肛門部の重い感じあり
という状況でクリニックを受診されました。
おしりの診察で、腫瘤をふれたため、大腸内視鏡をしたところ、
下の写真のような直腸癌が見つかりました。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/6ca6875296d99866f742e8454630febb.png)
直腸がんは肛門からの距離が近いため、鮮血に近い血便が出ます。
大腸は150cmくらいありますので、出血する場所によって肛門から出る血の色も変わってきます。
下の図のようなイメージです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/2eea543448d3253e337e542da1563c4c.jpg)
直腸より上流にある大腸(結腸といいます)から出血する時は、
直腸からの距離が遠くなるほど、やや黒い(赤褐色)色になっていきます。
冒頭の患者さんは最初に血便があった時に病院を受診していれば、
写真のような進行癌になる前に発見できたかもしれません。
『血便はあなたの体が発している危険のサイン』
ということを忘れないでください!
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/a0415844ff4a544a507e9b561b914bbe-2.jpg)
日頃から出血(血便)のある方、
特に40歳以上の方は、腹痛や下痢などの症状が出ないうちにクリニックを受診してください。
そして、あなたとあなたの大切な人のために、大腸内視鏡検査を受けてください。
4.大腸ポリープ(直腸ポリープ・結腸ポリープ)
大腸がんの成り立ちとして
最初に『腺腫(せんしゅ)』という良性のポリープができ、
腺腫が大きくなっていく過程で癌細胞が混ざってきます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/7ab2cd66b0a0bd00a0c2074772e4ba4b-1024x887.png)
上の写真のような腺腫でも時に出血をして血便や下血の原因となることもあります。
ある程度の大きさまでは、内視鏡での日帰り切除が可能です。
がん細胞が混ざってくる前の早期発見・早期治療が重要です。
5.潰瘍性(かいようせい)大腸炎
潰瘍性大腸炎は腸に炎症がおこる病気です。
日本国内に約22万人の患者さんがいらっしゃいます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/UC.gif)
発症年齢は20〜30歳の方が多いですが、小児や50歳以上でもおこります。
先日もクリニックに下痢と血便のために患者さんがいらっしゃいました。
- 50歳代男性
- 以前から下痢気味だった
- 2ヶ月前からは腹痛があった
- 1ヶ月前から下痢に血便、粘液を伴うようになってきた
このような状況でクリニックを受診されました。
内視鏡をしてみると、写真の様に腸がかなりあれている状況でした。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/115bf9b1bb13353653dc17682f29111b-1024x889.png)
潰瘍性大腸炎は腸が痛むことにより、
- 下痢
- 血便
- 粘血便
- 腹痛
- 体重減少
などの症状をおこします。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/04001a31fbbdb7a62c4dc2a098ec244e.jpg)
潰瘍性大腸炎の炎症は、
直腸だけのこともあれば、大腸全体のこともあります。
このため、血便の色は、鮮血〜暗赤色までさまざまです。
厚生労働省から難病に指定されていて、完全に治す方法は見つかっていません。
しかし、多くの方は早期に治療を開始すれば入院は必要なく、
専用の薬の内服のみで社会生活を送ることができます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/8cf90adf4ab7ddc2c1e77149e23f5304.jpg)
「日頃から下痢をしていて腹痛があり、血便や粘液も出る」という場合は、
潰瘍性大腸炎の可能性もあります。
できるだけ早めにクリニックを受診してください。
6.クローン病
クローン病は潰瘍性大腸炎と同様に厚生労働省から難病に指定されています。
日本国内に約7万人の患者さんがいらっしゃいます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/CD.gif)
潰瘍性大腸炎よりも若い、10歳代〜20歳代におこります。
クローン病の炎症は口から始まり、肛門にいたるまでの全消化管(口、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門)におこります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/3936097acd99518c20949cd8c0ceb92f.jpg)
このため、出血の色は、鮮血〜黒色まで様々です。
中でも小腸と大腸に多く炎症がおこり、
- 腹痛
- 下痢
- 血便
- 体重減少
などをおこします。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/c84e5e1cd770001bfe6e99ece31bec66.png)
クローン病は薬による治療や栄養療法が主体となりますが、
炎症が強くおこり、小腸や大腸が狭くなったり、腸に穴が空いた場合は外科手術が必要となります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/CD.jpg)
10歳代〜20歳代の若い方で、日頃から腹痛や下痢がある場合は、クローン病の可能性もあります。
できるだけ早めに、大腸肛門科や消化器内科を受診してください。
7.虚血性(きょけつせい)腸炎
虚血性腸炎は腸の血の流れが悪くなり、腸に炎症を起こす病気です。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/948441e3f186dace9f2d85c0087e140d-1024x891.jpg)
典型的な経過は、
- 夜間深夜に急に左腹部から下腹部に強い痛みがあり
- その後下痢をして
- その後のに出血をする
というながれです。
虚血性腸炎の腹痛は夜間深夜に左腹部から下腹部にかけて起こるのが特徴です!
就寝中に腹痛で目が醒めるパターンも多いです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/25750251_m-1024x683.jpg)
50歳以上に多いとされていましたが、最近では若い人にも増えています。
女性に多い傾向があります。
基礎疾患(高血圧、糖尿病、心臓や血管の病気、便秘など)のある方で多いですが、
原因がはっきりしないことも多くあります。
虚血性腸炎の炎症は肛門からやや離れた、
横行結腸から下行結腸にかけて起こることが多く、
このため、出血の色も鮮血よりはやや暗い赤色になります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/b0c2af63baaed21615e5e1c01fc8ce0b-5.jpg)
診断は、
- 問診
- お腹の診察
- 血液検査
- 大腸内視鏡検査
などで行います。
多くの方はお腹に負担をかけない食事をすることで、1週間以内に自然によくなります。
治療の基本は食事を控えてお腹を安静にすることです。
腹痛や出血などの症状が強い場合は、入院して食事を休み、抗生物質の点滴が必要となります。
最重症例では手術がが必要なこともありますがまれです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/b0c2af63baaed21615e5e1c01fc8ce0b-2.jpg)
夜間深夜に腹痛→下痢→血便という症状があった場合は、虚血性腸炎の可能性があります!
通常は翌日に病院を受診すれば大丈夫です。
しかし、腹痛が非常に強い時は、他の重大な病気の可能性もありますので、夜間救急病院を受診してください。
それ以外の方は、翌日に大腸肛門科や消化器内科を受診してください。
8.感染性腸炎
感染性腸炎は、細菌・ウイルス・寄生虫などの微生物の感染でおこります。
細菌とウイルスによるものが主流です。
主な症状は下痢ですが、中には痛や血便を伴うものもあります。
今回は比較的頻度の高い、『カンピロバクター』と『サルモネラ』
集団食中毒で時々ニュースになる 『腸管出血性大腸菌』について解説をしていきます。
カンピロバクター腸炎
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/c8cf84295cada919eea9df1c603c9104.png)
カンピロバクターは家畜やペットなど多くの動物が持っている細菌です。
生の鶏肉やその加工品からの感染が多いです。
カンピロバクター腸炎は1年を通して起こります。
カンピロバクターに感染してから症状がでるまでは2〜7日と長めです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/8f6c6b25d777803066881db2e2029abe-3.jpg)
カンピロバクターによる腸炎は直腸から盲腸までの全大腸におこりえます。
このため、血便の色も鮮血〜赤褐色と様々です。
主な症状は
- 水の様な下痢
- 腹痛(右下腹部)
- 発熱
で、血便も比較的多く見られます。
確定診断は便の培養検査で行います。
通常は脱水に対する点滴などの対症療法のみで3〜7日程度で改善します。
症状が重い場合には抗菌薬を使います。
合併症として発症1〜2週間後に、手足の痺れや麻痺が起こるギランバレー症候群を発症することがあります(0.1%)。
サルモネラ腸炎
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/6d3795a04f2be4acfa6914ec21643bf6.png)
サルモネラは、鶏などの家畜や野生動物の腸内にいる細菌です。
感染源として鶏の卵と卵調理品が多いですが牛肉や豚肉、や、ペットのイヌやカメなどからも感染します。
サルモネラ腸炎は初夏〜秋にかけてに多く発生します。
サルモネラに感染してから症状がでるまでは5〜72時間(平均12時間)と短めです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/6d3795a04f2be4acfa6914ec21643bf6-3.jpg)
サルモネラ腸炎は直腸から盲腸までの全大腸におこりえます。
このため、血便の色も鮮血〜赤褐色と様々です。
主な症状は
- 38℃以上の急激な発熱
- 水の様な下痢
- 腹痛
- 悪心・嘔吐
で、血便が見られることもあります。
確定診断は便の培養検査で行います。
通常は脱水に対する点滴などの対症療法のみで改善します。
しかし、菌が全身にまわり重症化する菌血症が2〜4%に起こるとされています。
小児や高齢者などでは、脱水や菌血症で重症化しやすい傾向があり、抗菌薬の投与が必要なこともあります。
腸管出血性大腸菌腸炎
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/EscherichiaColi.jpg)
大腸菌は私たちの腸内にもいますが、ヒトに下痢などの症状を起こす大腸菌もあり、病原性大腸菌と呼ばれます。
その中でベロ毒素を出し、出血を伴う腸炎や、溶血性尿毒症症症候群(HUS)を起こすものを、
『腸管出血性大腸菌』といい、代表的な菌はO-157です。
加熱されていない牛肉などから感染します。
腸管出血性大腸菌による腸炎は、初夏から初秋に多いとされています。
腸管出血性大腸菌い感染してから症状が出るまでは、3〜5日とやや長めです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/O-157.jpg)
O-157感染時の血便は写真のように便というより血液だけという感じです。
症状としては、
- 激しい腹痛がある水の様な下痢で始まり
- 1〜2日で血便となります
- 発熱は軽度
確定診断は便培養で行います。
脱水に対する点滴などの対症療法が基本で、軽症例は約1週間で改善します。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/2516902.jpg)
発病者の約10%は、下痢などの最初の症状が出てから5〜10日後に、
- 溶血性尿毒症症候群(HUS)
- 脳症
など命に関わる合併症をきたすことがあります。
特に、乳幼児・小児・高齢者では重症化しやすく注意が必要です!
溶血性尿毒症症候群を合併した場合には、
集中治療室がある高次医療機関への搬送が検討されます。
感染性腸炎は予防が大切!
O-157を含めた感染性腸炎の予防の基本は、食べ物の取り扱いと正しい手指衛生です。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/27164917_m-1024x727.jpg)
食品はしっかりと加熱し、調理後の食品は食べ切るなどしてください。
また、排泄物の処理の時などは直接手で触れないなどの注意も必要です。
特に、乳幼児や高齢者は重症化しやすく命にかかわることもあります。
乳幼児や高齢者のいらっしゃるご家庭の方は、日頃からの感染予防をお願いします。
9.大腸憩室(けいしつ)出血
「腹痛も下痢もないのに突然血便が出ました」
と、突然の血便に驚き来院される患者さんがいらっしゃいます。
腹痛や下痢を伴わない突然の出血の場合には大腸憩室出血も考えられます。
ところで、大腸憩室とはなんでしょう?
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/10/32f390be6abfde1cac22c562b440532f-1024x896.jpg)
大腸憩室は大腸の中の圧力が上がることで、
大腸の壁の弱い部分が写真のように外側にへこんでしまう状態です。
皮膚でいうシワやシミと一緒で、年齢に伴う大腸の変化です。
大腸がんとも無関係です。
大腸内視鏡検査をした時に発見されることが多いです。
年齢に伴う腸の変化のため、憩室があること自体は治療対象にはなりません。
ただ、この憩室が原因で出血をすることがあり、その場合は治療対象となります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/d77ff2039f46472612f391c34c8e3634-2.jpg)
大腸憩室は直腸以外の全結腸にできるため、
出血の色も比較的明るい赤色から赤褐色まで様々です。
大腸憩室出血は60歳以上の高齢者が約80%を占め、日本では男性に多いです。
憩室出血は腸を安静にすることで70%〜90%は自然に血が止まります。
自然に血が止まらない時は、大腸内視鏡検査やカテーテル治療で止血します。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/093acbd7a61361198e433f4289e42a10.jpg)
大腸憩室出血の特徴は、
『腹痛や下痢などの自覚症状がない突然の出血』です。
「腹痛や下痢はないけれど突然出血した」時には、
大腸憩室出血の可能性もありますので、病院の受診をお勧めします。
10.胃・十二指腸潰瘍
「最近ストレスが多くてみぞおちが痛い…」
「腰痛で痛み止めを毎日飲んでいたら胃が痛くなってきました…」
胃や十二指腸には潰瘍ができやすいです。
十二指腸は胃からつながる臓器で、十二指腸の先は小腸になります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/12/2221032-1024x768.jpg)
すぐ隣にありつながっているため、胃・十二指腸潰瘍とまとめられることが多いです。
胃や十二指腸は肛門から遠いので、
血液は途中で酸化されて黒くなり、
黒色便(タール便)となります。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2024/01/227d40568e42caac388a4ca2368b9970.jpg)
胃・十二指腸潰瘍の原因としては、
- 痛み止め(ロキソニンやボルタレンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs))
- ピロリ菌感染
が2大原因です。
先日もクリニックに胃の痛みで患者さんがいらっしゃいました。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/12/22970296-1024x768.jpg)
- 50歳代男性
- 1年以上まえから気持ち悪さがあった
- 1ヶ月以上前からみぞおちの痛みが続いているため来院
- これまで、胃のバリウム検査や内視鏡検査は受けたことがない
- ピロリ菌の検査はしていない
内視鏡をしてみると下の写真の様な潰瘍がみつかりました。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/11/4f4031ef648f42b496544d4578b8d92b.png)
胃・十二指腸潰瘍の症状としては、
- みぞおちの痛み
- 胸焼け
- 吐き気・嘔吐
- 吐血
- 下血
などがありますが、約10%の方は無症状と言われています。
潰瘍部分で穴が開くこともあり注意が必要です。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の比較は以下の表になります。
胃潰瘍 | 十二指腸潰瘍 | |
なりやすい年齢 | 40〜60歳 | 20〜40歳 |
症状 | 食事直後のみぞおちの痛み 胸焼け 吐き気・嘔吐 | 空腹時・夜間のみぞおちの痛み 胸焼け 吐き気・嘔吐 |
合併症 | 出血(吐血・下血) 穴が開く 胃の出口が狭くなる | 下血 穴が開く |
胃・十二指腸潰瘍の診断は、内視鏡検査で行います。
治療は、
- 原因の除去
- 潰瘍の治療
を同時に行います。
NSAIDsなどの痛み止めを飲んでいる場合は飲むのを止めます。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/12/HelicobacterPylori.png)
ピロリ菌がいる場合には、ピロリ菌の除菌をします。
ピロリ菌がいると胃がんのリスクが上がるので早めに除菌をしたほうがいいです。
潰瘍の治療としては、胃酸を抑える強い胃薬を内服します。
だいたいはこれでよくなりますが、
大量出血や穴が空いている場合には、内視鏡での止血や外科手術が必要になることもあります。
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11.胃がん
日本で胃がんは減少傾向にあります。
衛生環境の改善やピロリ菌の除菌が積極的に行われる様になり、
下の図の様に急速に減少をしてきますが、まだまだ多いがんの1つです。
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/12/b3e05c13de09970c5ab53909d9fd42c6.jpg)
2021年のがん統計では死亡数の順位は、
男性では3位、女性では5位、男女合計では肺、大腸について3位です。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
男女合計 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 肝臓 |
男性 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 肝臓 |
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 乳房 | 胃 |
早期の胃がんは症状はなく、検診などで発見されることがほとんどです。
腹痛や下血を伴うような胃がんはかなり進行しています。
胃がんは進行すると、
- 胃の不快感
- 上腹部の痛み
- 食後の膨満感
- 食欲不振
- 体重減少
- 嘔吐
- 血液の混ざった黒い便(タール便)
などをおこしてきます。
先日もクリニックに腹痛の患者さんがいらっしゃいました。
- 50歳代男性
- 3ヶ月前から食後にみぞおちの痛みあり
- 近医で内服薬の処方をうけていたが改善なく
- 胃カメラ目的で紹介受診
- ピロリ菌未検査
胃カメラを行ったところ、写真のような胃がんが見つかりました。
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この方は総合病院外科を紹介し、手術を受けていらっしゃいます。
胃がんは放置すると命に関わりますので、
予防・早期発見・早期治療が重要となります。
胃がんの予防
胃がんの予防としては、
- 禁煙
- 塩分のとりすぎに注意
- ピロリ菌の除菌
- アルコール減量(男性)
が有効であることがわかっています。
胃がんの早期発見
胃がんの早期発見としては定期的な胃がん検診があります。
各自治体の胃がん検診は、胃バリウム検査か胃内視鏡検査で行われます。
クリニックがある埼玉県草加市では以下のとおりです。
受診間隔 | 対象年齢 | 費用 | |
胃バリウム検診 | 毎年 | 30歳以上 | 900円 |
胃内視鏡検診 | 2年に1回 | 50歳以上 | 3500円 |
胃がんの早期治療
胃がんは早期であれば内視鏡での治療が可能です。
進行した場合は外科手術や化学療法が必要となります。
気になる症状がある場合は、検診を待たずに早めに医療機関で相談をしていください。
血便があるときの診察のながれ
ここからは、あなたが腹痛で血便がある時にクリニックを受診した場合の、診察のながれについて説明をしていきます。
おおまかなながれは以下です。
- 問診
- お腹の診察
- おしりの診察
- 診断名の決定
- 検査や治療のご案内
それぞれもう少し詳しく説明していきます。
問診
あなたの現在の症状や、これまでの経過を詳しくおうかがいします。
お腹の診察
診察台に仰向けに寝ていただき、お腹の痛い場所や、痛みの程度などを診察します。
おしりの診察
肛門の近くに出血の原因になる病気がないかを診察します。
指での診察、肛門鏡(こうもんきょう)という専門の器械を使って診察します。
肛門診察については後ほど詳しくお話しします。
肛門診察の時間は1〜2分程度と短時間です。
感染性腸炎が疑われる場合は、おしりの診察の際に便の培養検査をすることもあります。
診断名の決定
現状で考えられる診断名を図を用いて分かりやすくお伝えします。
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検査や治療のご案内
診断名をお伝えした後に、検査や治療のご案内をします。
検査・治療方針はあなたと相談をしながら決めていきます。
炎症の程度や貧血の程度を知るために、血液検査をすることがあります。
また、大腸や胃の状態の観察は内視鏡検査になりますが、
腹痛や下血が落ち着いてきている場合などは、必ずしも緊急の内視鏡検査が必要というわけではありません。
大腸からの出血の可能性がある場合の検査
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症状により緊急度は異なりますが、大腸の精密検査をお勧めします。
クリニックでできる精密検査は大腸内視鏡検査になります。
検査前には2リットルの下剤を飲む必要がありますが、
いろいろな事情で大腸内視鏡検査ができない場合は、CT検査などの他の検査をご案内する場合もあります。
大腸内視鏡検査の手順の詳細は以下の記事をご覧ください。
胃・十二指腸からの出血の可能性がある場合の検査
胃や十二指腸からの出血の可能性がある場合は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)をおすすめします。
腹痛で血便の際の『はずかしくないおしりの診察』
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おしりの診察」というとだれもが恥ずかしさと不安でいっぱいだと思います。
「どういうふうに診察をするのかが分からないので不安です…」
実際に問診の際にはこのような声をよくお聞きします。
草加西口大腸肛門クリニックでは、患者さんが恥ずかしくないようにプライバシーに最大限配慮したおしりの診察を心がけています。
当院でのおしりの診察の手順は以下のとおりです。
① カーテンの中で、ズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろして、診察台に横になっていただきます。
② おしりに清潔なシートをかけます。これで診察の準備が完了です。
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③ 視診察(見て観察)をします。
④ 指診察(指で診察)をします。
⑤ 肛門鏡(こうもんきょう)で診察をします。
肛門鏡は下の写真のような小さな器械で、痔の様子などを詳しく観察できます。
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⑥ 診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます。
おしりの診察のながれは以上です。
なんとなくイメージしていただけましたでしょうか?
診察時間は1〜2分程度です。
女性の診察の場合には、女性スタッフがすぐそばにおりますので、安心して診察を受けていただけます。
血便の際の精密検査【大腸内視鏡検査】
おしりの診察の結果、大腸からの出血が疑わしい場合は、大腸内視鏡検査をおすすめします。
先に述べたように血便や下血は大腸がんのサインである可能性もあり、命に関わる病気を知らせる体の悲鳴です。
そのため大腸内視鏡検査を行い血便や下血の原因を特定していきます。
当クリニックでの大腸内視鏡検査は、痛みや恥ずかしさはほとんどありません。
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毎年約1,000件の大腸内視鏡検査をしていますので、痛みが出ないテクニックを体得しています。
また『つらくない内視鏡検査』のため、鎮静剤や鎮痛剤も使用しています。
患者さんからもよく、
「痛みがなくて楽でした」
「こんなにスムーズに終わるなら早めに受けておけばよかった」
などの嬉しい言葉をたくさんいただきます。
また、当クリニックの大腸内視鏡検査は院長の私が全て担当しております。
このため過去の検査情報を十分に生かすことで、患者さん一人一人に個別化した内視鏡検査『テーラーメード内視鏡』が可能となっています。
また、大腸内視鏡検査のときの体勢は以下のようになります。
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おしりが少しだけ見える検査着を着ていただきます。
「恥ずかしくて無理」
などと言われる患者さんもこれまでいらっしゃいません。
検査時間も20分程度です。
このように当クリニックでは、痛みや恥ずかしさがなく安心して受けられる大腸内視鏡検査を行っています。
以下に検査の予約から検査終了までの流れを簡単にまとめてみました。
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まとめ
![](https://amanexblog.com/wp-content/uploads/2023/09/5bc90df6c2376a4a3e537af73defbbc8.png)
ここまで記事を読んでいただきましてありがとうございました。
『血便』と一言でいっても、その『色』により原因となる病気は様々です。
『日頃からおしりから出血があり、痔からの出血だろうと思い様子をみていたら、実は大腸がんからの出血だった』
という方に出会うたびに、
「もう少し早くクリニックを受診してもらえたら、病気が進む前に治療を受けてもらえたのに…」と思います。
私は日頃から、
『大腸がんでつらい思いをする方を少しでも減らしたい』という思いで記事を発信しています。
血便が気になっている方、
お一人で悩まず、まずは大腸肛門科を受診してみてください。
この記事が、
- 皆様の健康維持
- 皆様の病気の早期発見・早期治療
- 皆様が肛門科を受診する際の不安の軽減
これらのためにお役に立てれば幸いです。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)
草加西口大腸肛門クリニックのHPはこちら▶︎▶︎▶︎草加西口大腸肛門クリニック
引用文献
- 国立感染症研究所HP.https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/439-ehec-intro.html
- 厚生労働省食中毒統計資料.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html
- 大川 清孝,上田 渉,青木 哲也,他.カンピロバクター腸炎とサルモネラ腸炎の臨床像と内視鏡像の検討.日本消化器内視鏡学会雑誌 2018; 60: 981-990
- Takashi Tamura, Kenji Wakai, Yingsong Lin, et al. Alcohol intake and stomach cancer risl in Japan: A pooled analysis of six cohort studies. Cancer Sci 113: 261-276, 2022