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腹痛で血便のとき、何科どの病院を受診?【専門医が徹底解説】

現在あなたが、お腹が痛くて起き上がることもできないような激痛の場合は、緊急性が高いため直ちに救急車を呼んでください!

この記事では、『大人の方で、歩いて病院に行けるくらいの腹痛に血便を伴う場合』を対象にしています。

「最近お腹が痛くて、血便もある…どの病院を受診したらいいのかな?」

内科?、外科?、肛門科?、クリニック?、総合病院?

受診する診療科も病院の規模もよくわからない方も多いと思います。

この記事では、「腹痛で血便がある時にどの病院のどの診療科を受診したらいいの?」という疑問を解決していきます。

この記事の内容

  • 腹痛で血便があるときの原因4つ
  • 腹痛で血便があるときに受診する診療科
  • 腹痛で血便があるときにはクリニックと病院どちらを受診したらいいか
  • 腹痛で血便があるときの診察
  • 恥ずかしくないおしりの診察

この記事の信頼性

この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

埼玉県草加市にある、草加西口大腸肛門クリニックの院長です。

また、大腸と肛門の専門医であり指導医でもあります。

これまでに腹痛や血便で悩む患者さんを10,000人以上診察してきました。

これまでの経験をもとにこの記事では、

これをを読めば、腹痛で血便があるときに、あなたがどの病院のどの診療科を受診したらいいのかが分かります。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

それでは始めていきましょう!

目次

腹痛で血便(下血)があるときの原因は4つ

日頃クリニックで診療をしていて、

腹痛で血便や下血のある方が来院した際に考える原因として大きく4つあります。

  • 腸炎
  • 大腸がん
  • 胃や十二指腸からの出血
  • その他

です。

腹痛で血便がある病気の詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

腹痛で血便があるときの原因と治療法を【専門医が徹底解説】

腹痛で血便があるときに受診するのは何科?

腹痛で血便の原因は大腸や胃が原因のことが多いです。

このため、受診する診療科は大腸や胃の診察ができる診療科になります。

クリニックや病院の診療科名について

クリニックや病院の標榜科(ひょうぼうか:どういう診療をしているかをかかげること)名は、

厚生労働省により2008年に見直しが行われています(文献1)。

2008年より後に開院した病院は新しい診療科をかかげていますが、

それ以前からある病院は見直し以前の診療科がそのままかかげられているため、

多くの診療科名が存在しているのが現状です。

大腸や胃の診療ができる診療科一覧

では実際に大腸や胃の診療ができる診療科はどれでしょうか?

以下がその一覧です。

現在の診療科名見直し前からある診療科名
大腸・肛門外科消化器科
消化器内科胃腸科
消化器外科
胃腸内科
胃腸外科
内視鏡内科
(内科)
(外科)
【大腸や胃の診療ができる診療科】

内科や外科を標榜しているクリニックや病院でも、大腸や胃の診療ができる場合があります。

最終的にはその病院のHPでしっかりと確認をしてください。

ちなみに私が勤務している草加西口大腸肛門クリニックの標榜科は、

  • 大腸・肛門外科
  • 内視鏡内科

の2つです。

内視鏡ができるクリニックや病院の方がいいのか

大腸や胃からの出血があった場合に診断のための検査としては、内視鏡検査があります。

  • 大腸からの出血が疑われる場合・・・大腸内視鏡検査
  • 胃や十二指腸からの出血が疑われる場合・・・胃内視鏡検査

となります。

しかし、問診や診察からある程度診断ができる場合もあります。

そして、症状によっては急ぎで内視鏡検査が必要のないこともあります。

また、あなたのお住まいの場所の近くに、内視鏡検査ができる病院がないかもしれません。

まずは、大腸や胃の診察ができる標榜科のクリニックや病院を受診することが重要です。

仮に、受診したクリニックや病院で内視鏡検査ができない場合であっても、

診察をしてくれた医師が内視鏡検査が必要と判断した場合には、内視鏡検査ができる病院を紹介してくれますから安心してください。

腹痛で血便があるときに受診するのは、クリニック?病院?

ここまでで、腹痛で血便があるときにどの科を受診すればいいかはお分かりになったと思います。

「ところで、クリニックと病院どちらを受診した方がいいの?」

多くの方が疑問に思うのではないでしょうか?

ここからはクリニックと病院のどちらを受診したらいいかを説明していきます。

クリニックと病院の違いは?

皆さんの中で、「規模がおおきいのが病院で、小さいのがクリニック」と思った方もいるでしょう。

大体それであっています。

クリニックと病院違いは、病床数(入院患者用のベッド)が20床以上あるかないかです。

  • 入院ベッドが20床以上・・・病院
  • 入院ベッドが19床以下・・・診療所(クリニック)

となります。

最近はベッドのある診療所(クリニック)は少なくなってきたので、

街中で見かける●●クリニックというのはほとんどベッドがありません。

私が勤務している草加西口大腸肛門クリニックも入院ベッドはありません。

クリニックと病院どちらを受診したらいいの

それではクリニック病院どちらを受診したらいいのでしょうか?

答えは、『どちらでもいい』です。

あなたにとって大切なのは、

『腹痛で血便の状況を放置しないで、医療機関を受診する』

ということです。

「お腹の痛みもいつもと変わらないし、出血も少ないから…」

「腹痛や血便はあるけど生活に支障はないし…」

「仕事が忙しくて受診する暇がないから…」

など、医療機関を受診しない理由を探さないでください!

普通のドクターであれば、あなたが腹痛と血便で悩んで受診をしたら、必ず力になってくれます。

仕事や家事でお忙しいとは思いますが、あなたの体の危険のサインを放置しないでください!

腹痛で血便があるときの診察のながれ

ここからは、あなたが腹痛で血便がある時にクリニックを受診した場合の、診察のながれについて説明をしていきます。

おおまかなながれは以下です。

  1. 問診
  2. お腹の診察
  3. おしりの診察
  4. 診断名の決定
  5. 検査や治療のご案内

それぞれもう少し詳しく説明していきます。

問診

あなたの現在の症状や、これまでの経過を詳しくおうかがいします。

お腹の診察

診察台に仰向けに寝ていただき、お腹の痛い場所や、痛みの程度などを診察します。

おしりの診察

肛門の近くに出血の原因になる病気がないかを診察します。

指での診察、肛門鏡(こうもんきょう)という専門の器械を使って診察します。

肛門診察については後ほど詳しくお話しします。

肛門診察の時間は1〜2分程度と短時間です。

感染性腸炎が疑われる場合は、おしりの診察の際に便の培養検査をすることもあります。

診断名の決定

現状で考えられる診断名を図を用いて分かりやすくお伝えします。

【診察室での診察の様子】

検査や治療のご案内

診断名をお伝えした後に、検査や治療のご案内をします。

検査・治療方針はあなたと相談をしながら決めていきます。

炎症の程度や貧血の程度を知るために、血液検査をすることがあります。

また、大腸や胃の状態の観察は内視鏡検査になりますが、

腹痛や下血が落ち着いてきている場合などは、必ずしも緊急の内視鏡検査が必要というわけではありません。

大腸からの出血の可能性がある場合の検査

症状により緊急度は異なりますが、大腸の精密検査をお勧めします。

クリニックでできる精密検査は大腸内視鏡検査になります。

検査前には2Lの下剤を飲む必要がありますが、

いろいろな事情で大腸内視鏡検査ができない場合は、CT検査などの他の検査をご案内する場合もあります。

胃・十二指腸からの出血の可能性がある場合の検査

胃や十二指腸からの出血の可能性がある場合は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)をおすすめします。

腹痛で血便の際の『はずかしくないおしりの診察』

【草加西口大腸肛門クリニックの診察室】

『おしりの診察』というとだれもが恥ずかしさと不安でいっぱいだと思います。

「どういうふうに診察をするのかが分からないので不安です…」

実際に問診の際にはこのような声をよくお聞きします。

草加西口大腸肛門クリニックでは、患者さんが恥ずかしくないようにプライバシーに最大限配慮したおしりの診察を心がけています。

当院でのおしりの診察の手順は以下のとおりです。 

① カーテンの中で、ズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろして、診察台に横になっていただきます。

② おしりに清潔なシートをかけます。これで診察の準備が完了です。

③ 視診察(見て観察)をします。

④ 指診察(指で診察)をします。

⑤ 肛門鏡(こうもんきょう)で診察をします。

肛門鏡は下の写真のような小さな器械で、痔の様子などを詳しく観察できます。

【おしりの診察に使う肛門鏡】

⑥ 診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます。

おしりの診察のながれは以上です。

なんとなくイメージしていただけましたでしょうか?

診察時間は1〜2分程度です。

女性の診察の場合には、女性スタッフがすぐそばにおりますので、安心して診察を受けていただけます。

まとめ

ここまで記事を読んでいただきましてありがとうございました。

腹痛で血便があるときに、どの医療機関を受診したらいいかお分かりいただけましたでしょうか?

大切なことは、腹痛と血便を放置せず、医療機関を受診するということです。

腹痛で血便の原因の中は、

あなたの命に関わる大腸がんや胃がんの可能性が含まれています。

私からのお願いです、

腹痛で血便はあなたの体があなたに伝えている危険のサインです。

医療機関を受診しない理由を探すのではなく、

まずは大腸や胃の診療をしているクリニックや病院で相談をしてみてください。

この記事が、

  • 皆様の健康維持
  • 皆様の病気の早期発見・早期治療
  • 皆様が大腸肛門科を受診する際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

草加西口大腸肛門クリニックのHPはこちら▶︎▶︎▶︎草加西口大腸肛門クリニック

引用文献

  1. 厚生労働省通知「広告可能な診療科名の改正について」
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この記事を書いた人

大腸肛門科医
【経歴】弘前大学医学部卒業▶︎横浜市立大学研修医▶︎神奈川県立がんセンター・大腸外科▶︎社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター▶︎2018年から草加西口大腸肛門クリニック院長
●診療理念『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
●大腸とおしりの悩みを解決します!

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