セルロースとは?不溶性食物繊維としての働きと便通への影響【専門医が徹底解説】

「セルロースって野菜とかに含まれているよね?」

セルロースはどこかで聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?

セルロースは、私たちが日頃食べている多くの野菜に含まれている不溶性食物繊維です。

この記事では、セルロースの食物繊維としての働きや便通への影響について、専門医の立場からわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • セルロースの食物繊維としての働き
  • セルロースと腸内細菌・便通との関係
  • セルロースを摂取するの際の注意点
目次

この記事の信頼性


草加西口大腸肛門クリニック院長・金澤 周

amane

  • 草加西口大腸肛門クリニック院長
  • 消化器内視鏡学会 専門医
  • 大腸肛門病学会 専門医
  • 抗加齢医学会 専門医(アンチエイジング専門医)
  • 年間約1,000件の大腸内視鏡を担当

診療理念「あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために」

この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

この記事は、草加西口大腸肛門クリニックの院長が、外来での実際の指導、公的資料、論文、各製品の公式情報をもとに、専門医の立場から執筆しています。

セルロースとは?

セルロースは植物の細胞壁を支える食物繊維

セルロースは、植物の細胞壁をつくる代表的な成分で、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の一つです。

植物が形を保ち、茎や葉などを丈夫に支えるために、細胞壁ではセルロースの丈夫な繊維が骨格として働いています。

そのため、セルロースは野菜、果物、穀類などの植物性食品に広く含まれており、私たちは普段の食事から自然に摂取しています。

植物の細胞壁には、セルロースのほかにもヘミセルロースやリグニンなどが含まれています。これらは同じ細胞壁の成分でも、構造や性質、腸内での働きが異なります。

セルロースの基本構造

セルロースは、ブドウ糖(グルコース)が多数つながってできた多糖類です。

ブドウ糖同士は、β(1→4)結合と呼ばれる結合で、枝分かれせずに一直線につながっています。

この長い鎖が何本も並び、互いに強く結びつくことで、丈夫な繊維をつくります。

この構造が、植物の細胞壁を支える強さにつながっています。

また、人はこのβ(1→4)結合を分解する酵素「セルラーゼ」を持っていないため、セルロースは小腸ではほとんど消化されず、大腸まで届きます。

セルロースが多く含まれる食品

セルロースは植物性食品に広く含まれる

セルロースは食物の細胞壁を作る成分であり、野菜、果物、穀類、豆類などの植物性食品に広く含まれています。

特に、植物の茎・皮・外皮など、形を支えるしっかりした部分に多く含まれる傾向があります。

身近な食品を挙げてみると、

  • ごぼう
  • たけのこ
  • セロリ
  • キャベツ
  • ブロッコリーの茎
  • さやいんげん
  • にんじん
  • 穀類の外皮やふすま

などが、セルロースを含む食品としてイメージしやすいです。

「筋っぽい」「しっかりした部分」をイメージ

セルロースは、植物の細胞壁を丈夫にするため、噛んだ時に筋や繊維を感じる野菜をイメージしてみてください。

ただし、こうした食品の繊維質が全てセルロースというわけでありません。

植物の細胞壁には、ヘミセルロースやリグニンなども一緒に含まれています。

また、セルロースは私たちが普段食べている野菜や穀類などから自然に摂取できるため、

「セルロースだけを意識して増やす」というより、さまざまな植物性食品を食べる中で自然に摂取している食物繊維と考えてください。

セルロースは腸でどのように働く?

小腸では消化されず、大腸まで届く

セルロースは、グルコース(ブドウ糖)がβ(1→4)結合でつながった食物繊維です。

人は、この結合を分解する酵素「セルラーゼ」を持っていません。

そのため、セルロースは胃や小腸ではほとんど消化・吸収されず、大腸まで届きます。

また、大腸に届いたあとも、腸内細菌によって発酵・分解されにくいことも特徴です。

便のかさを増やす

大腸まで届いたセルロースは、腸内で発酵・分解されにくいため、多くが繊維の形を保ったまま便の材料になります。

また、セルロースは水分を含みながら便の中に残るため、セルロースそのものの量と合わせて、便の量(かさ)を増やす方向に働きます。

このように、セルロースは大腸で大きく姿を変えるというより、便の材料として残ることが特徴の食物繊維です。

セルロースは便秘に役立つ?

便のかさを増やし、排便を助ける可能性がある

セルロースは小腸で吸収されず大腸まで届き、便の材料となることで便の量(かさ)を増やす方向に働きます。

便の量が増えると腸管への刺激となり、腸の動きや排便を助ける可能性があります。

そのため、セルロースを含む食品は、便秘対策の一つとして役立つ可能性があります。

「セルロースを増やせば便秘が治る」とは限らない

便秘には、便の硬さだけでなく、腸の動き、排便のタイミング、骨盤底の働きなど、さまざまな要因が関係します。

また、不溶性食物繊維を急に増やすと、人によってはお腹の張りやガス、腹痛が強くなることもあります。

そのため、便秘だからといって、セルロースを意識的に大量に摂取すればいいというわけではありません。

セルロースは、多くの植物性食品に含まれているため、日頃からセルロースそのものを強く意識して摂取する必要はありません。

野菜や果物、穀類、豆類などをバランスよく食べることで、他の食物繊維と一緒に自然に摂取することができます。

セルロースは下痢・軟便に役立つ?

セルロースは不溶性食物繊維で、サイリウムのように水に溶けてゲル状になる性質はありません。

そのため、便の水分を調整して軟便を適度な硬さに整える働きは期待しにくい食物繊維です

また、下痢や軟便が続いているときに、セルロースを多く含む食品を意識して増やす必要はありません。

むしろ、胃腸の状態によっては、不溶性食物繊維を多く摂ることで便量が増えたり、お腹の張りを感じたりすることがあります。

そのため、セルロースは下痢や軟便を改善する目的で積極的に摂る食物繊維ではないと考えてよいでしょう。

便の硬さを整える食物繊維について詳しく知りたい方はこちら↓

セルロースは腸活に役立つ?

セルロースは不溶性食物繊維として、便のかさを増やし、排便を助ける方向に働くため、腸活に役立つ可能性があります。

一方で、イヌリンなどの発酵性食物繊維と比べると、腸内細菌によって発酵・分解されにくく、腸内細菌のエサとしての働きは強くありません。

そのため、セルロースだけに偏らず、発酵されやすい食物繊維も含めて、さまざまな食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。

セルロース摂取時の注意点

セルロースは、野菜や果物、穀類など多くの植物性食品に含まれており、通常の食事から摂取する範囲では、特別に注意する必要はほとんどありません。

セルロースは便のかさを増やす不溶性の食物繊維のため、急に多く摂ると、人によってはお腹の張りやガス、腹痛、便量の増加などがみられることがあり、便秘だからといって大量にとれば良いわけではありません。

特に、普段あまり食物繊維を摂っていない人が、サプリメントや食物繊維を多く含む食品を急に増やす場合は、少量から始めて、お腹の状態をみながら調整をしていきましょう。

セルロースは、日頃から野菜、果物、穀類、豆類などをバランスよく食べる中で、自然に摂取するイメージです。

Q&A|セルロースに関するよくある質問

ここではよくある質問をまとめてみました。

セルロースは水溶性食物繊維?不溶性食物繊維?

セルロースは、水に溶けにくい不溶性食物繊維の代表的な成分です。水に溶ける水溶性食物繊維とは性質が異なり、大腸まで届いて便のかさを増やす方向に働きます。

セルロースには1日の摂取目安量があるの?

セルロース単独の摂取目安量は定められていません。食物繊維については1日の摂取目標量がありますが、セルロースだけを何g摂る、と考える必要はありません。野菜、果物、穀類、豆類などから、ほかの食物繊維と一緒に摂取するのが基本です。

セルロースはサプリメントで摂った方がいいの?

通常の食生活をしている人が、セルロースだけを目的にサプリメントで補う必要性はありません。セルロースは多くの植物性食品に含まれているため、日頃の食事の中で自然に摂取できます。

加熱するとセルロースはなくなるの?

通常の調理で、セルロースが完全になくなるわけではありません。加熱によって野菜がやわらかくなっても、セルロースそのものは比較的分解されにくい成分です。そのため、生野菜だけでなく、煮る・蒸す・炒めるなどの調理をした野菜からも摂取できます。

セルロースとヘミセルロースは同じもの?

同じではありません。どちらも植物の細胞壁に含まれますが、セルロースはグルコースがβ(1→4)結合でまっすぐにつながった多糖類です。一方、ヘミセルロースは、アラビノキシランなどを含む複数の多糖類の総称で、構造や腸内での働きも異なります。

よくある質問を確認したところで、改めて記事全体のポイントを「まとめ」として整理しておきます。

まとめ

ここまで記事を読んでいただいてありがとうございました。

セルロースの食物繊維としての働きや、便通への影響についてお分かりいただけましたでしょうか。

もう一度まとめると、

  • セルロースは、植物の細胞壁に含まれる代表的な不溶性食物繊維
  • 野菜、果物、穀類、豆類など、多くの植物性食品に広く含まれている
  • 胃や小腸ではほとんど消化されず、大腸まで届いて便のかさを増やす方向に働く
  • 腸内細菌によって発酵・分解されにくい食物繊維
  • セルロースだけを意識して増やすのではなく、さまざまな食物繊維をバランスよく摂ることが大切

となります。

セルロースは、健康のために特別に意識して大量に摂る必要のある食物繊維ではありません。

野菜、果物、穀類、豆類など、さまざまな植物性食品を食べる中で、自然に摂取していくことを基本にしていきましょう。

この記事をきっかけに、毎日の食事に含まれる食物繊維にも少し興味を持っていただき、

皆様の健康増進と病気の予防のために、少しでもお役に立てれば幸いです。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

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この記事を書いた人

大腸肛門科医
【経歴】弘前大学医学部卒業▶︎横浜市立大学研修医▶︎神奈川県立がんセンター・大腸外科▶︎社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター▶︎2018年から草加西口大腸肛門クリニック院長
●診療理念『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
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