2026年10月24日、埼玉県戸田市にある、戸田東中学校の令和8年学校保険委員会で、
全校生徒約650人、保護者、先生方を対象に講演をしてきました。
2025年12月に草加市内の中学校3年生を対象に、朝ごはんについての講演をしてから、約1年がたちました。
今回は、戸田東中学校で行われた朝食のアンケートを元に、
- 朝ごはんの大切さ
- 朝ごはんが食べられない理由と対策
についてお話をしました。
今回、私が一番伝えたかったのは、「まずは1品からでもいいので、毎日朝ごはんを食べる習慣をつけて欲しい!」ということです。
このページでは、今回の講演で実際に使ったスライドを使いながら、講演内容を紹介します。
それでは始めていきましょう。
この記事の信頼性
この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。
この記事は、草加西口大腸肛門クリニックの院長が、専門医の立場から執筆しています。
朝ごはんをたべられない3つの理由

朝ごはんを食べられない理由について、戸田東中学校で行われた朝食アンケートでは、多い順に、
- 食欲がない
- 時間がない
- 起きられない
の3つが挙げられていました。
皆さんも思い当たることがあるかもしれません。
では、どうすれば朝ごはんを食べられるようになるのでしょうか。
そのお話の前に、まずは朝ごはんを食べる3つのメリットについて見ていきましょう。
朝ごはんを食べる3つのメリット
メリット①:体の「朝スイッチ」を押す!

まず1つ目のメリットは、朝ごはんは私たちの体を朝にする「朝スイッチ」の1つということです。
私たちの体には、朝の活動を始めるための、朝スイッチがいくつかあります。
例えば、朝の光を浴びるのもその1つです。
そして、朝ごはんを食べることも、大切な朝スイッチの1つになります。

また、わたしたちの体には「体内時計」という仕組みがあり、体のリズムを整えています。
体内時計には実は2種類あり、
1つは、脳にある体内時計、もう一つは、胃や腸や皮膚などといった体の臓器や器官にある体内時計です。
脳の体内時計は、朝の光という「朝スイッチ」で調整されています。
一方、臓器の体内時計は、朝ごはんなどの食事によって調整されています。
つまり、朝の光と朝ごはんという2つの「朝スイッチ」によって、脳と臓器の体内時計が整い、朝から活動しやすい体になります。
これが朝ごはんを食べるメリットの1つ目です。
メリット②:朝のエネルギー補給になる!

2つ目のメリットは、午前中に活動するためのエネルギーを補給できることです。
私たちは、寝ているも呼吸をしていますし、心臓も動いています。
胃や腸も休まず働き、食べたものの消化や吸収をしています。
つまり私たちは意識していなくても、寝ている間にエネルギーを使っているんです。
このため、朝になると、寝ている間に使った分だけ、体に蓄えていたエネルギーが減っています。
スマホの充電が減るのと一緒です。

スマホの場合は寝ている間に充電できますよね。
でも、人間は寝ている間にコードをさして充電できないので、食事でエネルギーを補給する必要があります。
そこで大切なのが朝ごはんです。
朝ごはんを食べることで、午前中に活動するためのエネルギーを補給できます。
これが朝ごはんを食べるメリットの2つ目です。
メリット③:排便習慣が整う!

3つ目のメリットは排便習慣が整うことです。
皆さんは食事をした後に、トイレに行きたくなったことありますよね。
食べ物が胃に入ると、その刺激が大腸に伝わって、大腸の蠕動運動が活発になります。
これを「胃結腸反射」と言いいます。
大腸が動くことで、便意が起こりやすくなります。
特に朝は。もともと腸が動きやすい時間です。
さらに、朝ごはんを食べることで、胃結腸反射が起こり、便意がおこり、排便が促進されます。

なので、朝ごはんを食べることで、毎日の排便習慣を整えることができる、
これが3つ目のメリットになります。
まとめ:朝ごはんを食べる3つのメリット
ここまで、朝ごはんの3つのメリットについてお話をしてきました。

まとめてみると、
1つ目は、「朝スイッチ」を押して体のリズムを整えてくれること。
2つ目は、午前中に活動するためのエネルギーが補給できること。
3つ目は、排便習慣が整うこと。
このように、朝ごはんは、私たちのからだにとって、とても大切な役割があるんです。
Break time!

ここまでで前半が終了です。
後半では、朝ごはんが食べられない理由と、その対策についてお話をしていきます。
朝ごはんを食べられない3つの理由と対策

これは講演の最初に出てきたスライドです。
朝ごはんを食べられない3つの理由で最も多かったのは、「食欲がない」、そして、「時間がない」、「起きられない」の順でした。
このうち、「時間がない」と「起きられない」は結構リンクしていて、
実際は「起きられないから時間がない」というパターンがほとんどだと思いますので、この2つはまとめて対策を考えていきます。
まずは、朝ごはんを食べられない理由として一番多かった「食欲がない」の原因と対策を考えていきましょう。
朝、食欲がわかないのはなぜ?

皆さんも、朝起きて食欲がわかない、と言う経験はありますよね。
理由はたくさんありますが、今回はその中の1つ「夜型の生活」にスポットを当ててみます。
中学生の皆さんは勉強をしたり、TVやスマホをみたりして、どうしても寝る時間が遅くなってしまうと思います。
夜型の生活が続くと、体のリズムが後ろにずれてしまいます。
平日は朝起きないと学校に遅刻してしまうため、強制的に起きることになりますが、
こうなると、体にとっては睡眠時間が足りず、体のリズムはまだ夜型のままなのに、無理して起きている状態になります。
そうすると、スライドの右下のイラストのように、
朝は起きたけれども、お腹がすかない、朝ごはんを前にしてぼーっとしてしまう、そんな状態になります。
朝の食欲に影響する夜の生活習慣

では、実際に朝の食欲に影響を与える生活習慣を見ていきましょう。
今回は、4つとりあげてみます。
1つ目は、「夜遅い食事」。
2つ目は「夜の重い食事」、「重い」というのは、単純に量が多いということと、脂っこいという2つの意味があります。
3つ目は、「睡眠不足」。
そして、4つ目は、スマホやTV、PCなどによる「寝る前の強い光」です。
ここからは、この4つの生活習慣の対策を考えていきましょう。
夜遅い食事への対策

まず1つ目は、「夜遅い食事」への対策です。
夜遅い時間に食事をすると、消化に時間がかかり、朝になってもお腹がすきません。
できれば、夕食は寝る2〜3時間前までにすませるようにしましょう。
でも、塾などで夕食が遅くなる日もありますよね。
そんなときは、夕方におにぎりなどを食べてから塾に行き、帰宅後に残り夕食を食べる。
つまり、食事を2回分ける「分食」がおすすめです。
寝る直前にたくさん食べないことが、翌朝の食欲につながります。
夜の重い食事への対策

次は、「夜の重い食事」への対策です。
例えば、牛丼や、カツカレー、ラーメンといった、皆さんも大好きな、脂っこくてボリュームのあるメニューです。
こうした食事は、消化に時間がかかるため、夜遅くにたくさん食べると、翌朝お腹がすきにくくなります。
こうした食事は、できるだけ早い時間にたべて、寝るまでの時間を空けましょう。
そして、夕食が遅くなる日は、食べる量や脂っこいものを控えめにして、あっさりとした食事を取るように心がけましょう。
睡眠不足への対策

3つ目は「睡眠不足」への対策です。
中学生の皆さんは、8〜10時間の睡眠が目安とされています。
しかし、実際の生活で10時間眠るというのは現実的ではありません。
そこで、まずは8時間の睡眠を目標にしてみましょう。
8時間だと、22時に寝て、6時に起きる、これならできそうですよね。
でも、「今日は早く寝る!」と気合をいれて、布団に入っても、すぐに眠るのは難しく、結局布団の中で起きているなんていうパターンになりがちです。
ですから、朝起きる時間は毎日同じにして、10分でも15分でもいいので、眠る時間を早くしてみてください。
寝る前の強い光への対策

最後は、「寝る前の強い光」への対策です。
寝る前に、TVをみたり、布団にはいってついついLINEをチェックしたり、YouTubeを見ちゃう人もいると思います。
でも、寝る前にスマホなどの強い光を浴びると、脳がまだ昼間だと勘違いして、眠りにつきにくくなります。
そして、眠れないだけでなく、睡眠の質も低下すると言われています。
ですから、できれば寝る1時間前は、スマホやTVを見ないようにしましょう。
どうしてもスマホを使う必要がある時には、画面を暗くして、短い時間で済ませるようにしましょう。
夜の過ごし方が、朝の食欲に影響する!

ここまで、朝の食欲に影響する4つの生活習慣と、その対策を見てきました。
このように、朝の食欲には、前日の夜の過ごし方が大きく影響するということを知っておいてください。
朝ごはんをおいしく食べるために、夜の生活習慣を見直してみてください。
「起きられない・時間がない」への対策

次は、「起きられない」「時間がない」への対策です。
まず大切なのは、毎朝なるべく同じ時間に起きることです。
平日は学校があるので、だいたい同じ時間に起きている人が多いと思います。
でも、週末になるとついつい夜更かしをして、日曜日の朝は遅くまで寝てしまう、と言う人もいるのではないでしょうか。
こうした生活が続くと、せっかく平日に整った生活リズムが、週末で崩れてしまいます。
そのため、できれば平日と週末の寝る時間や起きる時間は、±1時間に抑えるのが理想です。
そして、少しでも早く寝て、まずは8時間の睡眠を目標にしてみましょう。
また、朝の時間に余裕をつくるためには、翌日の準備を前日の夜に済ませておくことも大切です。
学校の支度や持ち物の確認を夜のうちに終えておくと、朝はあわてずにすみます。
実は、私自身もこれは少し苦手です。
でも、前日の夜に準備しておくと、朝の余裕がかなり変わります。
それでも時間がない日や、寝坊してしまう日もありますよね。
そんなときは、朝ごはんを抜くのではなく、「時短朝ごはん」を活用してみましょう。
朝ごはんは何を食べたらいい?

「時短朝ごはん」の話の前に、朝は何を食べたらいいのかをまずお伝えします。
食べ物には、炭水化物、タンパク質、脂質という3代栄養素があります。
朝ごはんは、エネルギー源となる炭水化物と、体を作る材料となるタンパク質を組み合わせるのがおすすめです。
基本は、炭水化物か1品、タンパク質から2品です。
しかし、時間がない時は、「時短朝ごはん」として、炭水化物から1品、タンパク質から1品でもOKです。
例えば、卵かけご飯、納豆ご飯、パンと牛乳、シリアルと牛乳、バナナヨーグルトなどです。
それでも時間がない時はどうしたらいいでしょう。
そんな時は、午前のエネルギー源してすぐに使えるように、炭水化物から1品食べましょう。
あと、もう一つ重要なことは、
朝ごはんの3つのメリットのところでお話ししたように、
朝ごはんは、単にエネルギーの補給だけではなく、
- 体を朝にする「朝スイッチ」
- 排便習慣を整える
といった重要な役割があります。
まずは、「毎朝何か1品でもいいから食べる」と言う習慣をつけていきましょう。
私の最近の朝ごはん
2年くらい前の私は、寝る時間も遅く、朝ごはんにあまり関心がありませんでした。
このため、毎日お腹の調子が悪かったり、午前に元気が出なかったりしていました。
「これではいけない!」と思い、ある時から朝早く起きて、しっかり朝ごはんを食べるようにしました。
この結果、お腹の調子も整い、朝から調子が良い日が増えています。
ここで最近の私の朝ごはんを紹介します。

左上から、
- トマトジュース
- 緑茶
- 納豆+ツナ缶+ガゴメ昆布
- きのこ丼
- ピーマン+ほうれん草+にんじん
- ビタミン系サプリ
と言ったところです。
でもこれはちょっとマニアックすぎて、皆さんにはおすすめはできませんし、ここまでする必要もないと思います。
皆さんは、まずは「炭水化物から1品、タンパク質から1〜2品を選んで、毎朝、朝ごはんを食べる生活習慣を作る」ということを心がけてみてください。
今日からできそうなことを1つやってみよう!

ここまで、朝ごはんの大切さについて、一緒に勉強をしてきました。
何か1つ、できそうなことや興味を持ったことはありましたか?
たった1つでもいいです。
皆さんが快適な学校生活を送れるように、今日の夜からできそうなことを始めてみてください!
私の話は以上になります。
ご清聴ありがとうございました。
まとめ

ここまで記事を読んでいただいてありがとうございました。
今回は、戸田東中学校での講演の内容をほぼそのまま再現してみました。
この記事をきっかけに、朝ごはんの大切さに関心をもっていただき、快適な毎日が送れるように、何か一つでも始めてみていただければ幸いです。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

