「大腸内視鏡検査の時間はどれぐらいかかるのかな?」
という疑問で、「大腸内視鏡検査」「時間」と検索した方も多いのではないでしょうか。
大腸内視鏡検査にかかる時間は、
- 病院に来る前の時間
- 病院に来てから検査までの時間
- 検査室での時間
- 検査終了から病院を出るまでの時間
- 病院から帰宅するまでの時間
の大きく5つに分けられます。
狭い意味で大腸内視鏡検査の時間といえば「検査室での時間」になります。
この記事では、大腸内視鏡検査当日の時間の流れにそって、所要時間を見ていきます。
注意:この記事では、検査前の下剤を自宅で飲む、日帰りでの大腸内視鏡検査のケースを想定しています。
この記事の内容
- 大腸内視鏡検査にかかる時間
- Q&A|大腸内視鏡検査にかかる時間についてのよくある質問
この記事の信頼性
この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

この記事を読めば、『大腸内視鏡検査にかかる時間』がわかり、検査の予定が立てやすくなります。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
それでは始めていきましょう。
この記事は、草加西口大腸肛門クリニックの院長が専門医の立場から執筆しています
大腸内視鏡検査当日の流れ
最初に、「大腸内視鏡検査にかかる時間」を見る前に検査当日の流れを確認します。
大腸内視鏡検査当日の流れは10行程
当院での日帰り大腸内視鏡検査の流れは以下の10行程です。
- 自宅での下剤の内服
- 自宅から検査を受ける病院への移動
- 病院到着、受付、着替え
- 待合室で待機、検査室への移動
- 検査室での準備、点滴ルート確保
- 大腸内視鏡検査の検査時間
- 検査後の休憩
- 着替え、待合室での待機
- 検査結果の説明、会計
- 自宅までの移動
狭い意味での「検査時間」は、おしりから内視鏡を入れている時間と考えると、6の「検査開始〜検査終了」の部分となります。
ここからは、それぞれの行程でかかる時間を順番に説明していきます。
なお、検査2日前のからのより詳細な流れについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

大腸内視鏡検査当日にかかる時間
【行程1】自宅での下剤の内服〈+約4時間〉

検査の約4時間前から下剤の内服があります。
ここから大腸内視鏡検査が始まります!
【行程2】自宅から検査を受ける病院への移動時間〈+各自の時間〉

自宅から検査を受ける病院までの時間も重要です。
自宅で下剤を飲んで体は軽い脱水状態になっているので、あまり自宅からから遠いと単純に疲れます。
特に暑い夏場は移動時間が長いとつらいです。
【行程3】病院到着、受付、着替え〈+約20分>

来院予約時間にクリニックに到着した後、受付をして、ロッカーへご案内、着替えをします。
初めて検査をする方は、日頃馴染みのない検査パンツや検査用ガウンに戸惑うと思いますので、着替えにも時間がかかります。
【行程4】待合室での待機、検査室への移動〈+約10分>

その日の検査の進行状況により、待合室での待ち時間も変わります。
【行程5】検査室での準備、点滴ルートの確保〈+約10分>

検査室に入ったら、まず本人確認があります。
その後に、検査用のベッドに横なって、血圧測定をします。
その後に、少しでも検査を楽に受けられるように、鎮静剤や鎮痛剤を使うための点滴ルートを確保します。
【行程6】大腸内視鏡検査の検査時間(内視鏡を入れる時間)はどれくらい?〈+約15分〜30分>

検査ベッドで横向きになり、おしりから内視鏡を入れて検査開始です。
大腸内視鏡検査は大腸の一番奥まで内視鏡を進め、戻りながら観察をして、必要に応じて生検やポリープ切除などの処置を行います。
おしりから大腸の奥までは 5〜10分
人によって腸の長さや、検査のしやすさは変わるため、大腸の奥の盲腸まで到達する時間も異なります。

1分で奥までつく方もいれば、挿入が難しくて20分以上かかる人もいますが、平均すると10分以内になります。
観察時間は最低 6分
大腸の中をしっかりと観察するには最低6分は必要です。

これは、国内外の大腸内視鏡検査のガイドラインでも示されいる国際基準です。
ここまでの、大腸の奥までの挿入と観察で、約15分くらいはかかります。
ポリープ切除などの処置をした場合はその分時間がプラス ●分
観察の際に大腸ポリープが見つかって切除をする場合や、組織を採取する生検をする場合はその分時間がプラスされます。

生検検査は1カ所であれば、1分くらいですみますが、
何カ所も組織をとるとそれだけ時間がかかります。

大腸ポリープ切除の場合は、小さなポリープ1個であれば、1−2分のプラスですが、
大きなポリープの切除や、ポリープをいくつもとる場合はさらに時間がかかります。
【行程7】検査後の休憩時間の目安とは?〈+約15分〜60分>

検査の時に鎮静剤を使用した場合などは、そのまま立ち上がるとふらついたりして危ないので、
検査ベッドのまま検査室から休憩室へ移動しお休みします。
意識がはっきりする時間は人によって異なりますが、おおよそ15分から60分くらいとなります。
【行程8】着替え、待合室での待機〈+約15分>
休憩の後、ロッカーで着替えをします。
着替えの後は、医師から検査の説明を受けるまでの間、待合室でお待ちください。
【行程9】検査結果の説明、会計〈+約15分>

診察室で医師から検査結果の説明があります。
ポリープ切除や生検検査をした場合は、後日の病理組織検査の結果説明日の予約をします。
説明の後は、お会計まで少しお待ちいただき、お会計をして帰宅となります。
【行程10】自宅までの移動〈+各自の時間〉

病院からご自宅までの時間です。
鎮静剤を使っている場合は、少しボーっとしていることもあるため、時間に余裕をもって気をつけてお帰りください。
院内の滞在時間の目安は約2時間
その日の検査の進行具合や、検査にかかる時間などにもよりますが、
病院に来てから、帰るまでの、「院内の滞在時間は2時間くらい」と考えていただくと時間に余裕があっていいと思います。
Q&A|大腸内視鏡検査にかかる時間についてのよくある質問
以下に、患者さんからよくいただくご質問をQ&A形式でまとめました。
Q&Aは全部で10個あります、気になる点があれば、ぜひご確認ください。
よくある質問を確認したところで、改めて記事全体のポイントを「まとめ」として整理しておきます。
-
Q. 初めての検査で不安です。検査の流れをざっくり教えて
A. 大腸内視鏡検査は、前日に食事制限をし、当日の朝から下剤を飲んで腸をきれいにしてから行います。来院後、検査着に着替えをして、準備が整ったら検査を行います。検査自体は15~30分程度で、鎮静剤を使用した場合は終了後に休憩をとります。その後、医師から結果説明を受けて帰宅となります。
-
Q. 大腸内視鏡検査は、日帰りで検査はできるの?
A. はい、基本的には日帰りでの検査です。ただし、大きなポリープや多くのポリープ切除が必要な場合は、後日に入院できる施設での検査をご案内することもあります。
-
Q. 大腸内視鏡検査って全部で何時間くらいかかるの?
A. 前処置から検査終了後まで含めると、トータルで半日程度かかることが多いです。下剤を飲む時間や、腸がきれいになるまでの時間、検査の時のポリープ切除の有無などによって個人差があります。
-
Q. 大腸内視鏡検査自体の時間は何分くらい?
A. 検査自体は、通常15〜30分程度で終わります。腸の長さや内視鏡の挿入しやすさ、検査中のポリープ切除などの処置の有無によって時間は変わってきます。
-
Q. 前処置ってどれくらいの時間がかかるの?
A. 例えば13時からの検査の場合は、検査4〜6時間前の、午前7時〜9時ころから当日の下剤の内服が必要となります。
-
Q. 便が出にくいタイプですが、前処置に時間がかかりますか?
A. はい、便秘気味の方は前処置に時間がかかる傾向があります。日頃から便秘気味で、前処置に不安のある方は、事前の診察の際に医師に相談をしましょう。
-
Q. 検査後の休憩時間は必要?どれくらい?
A. 鎮静剤を使った場合は、検査後に15分〜1時間ほどリカバリールームなどで休憩してから、着替えとなり、医師からの検査結果の説明を受け、会計し帰宅となります。鎮静剤なしで受けた場合は、体調に問題なければ休憩時間なくすぐに着替えとなります。
-
Q. 鎮静剤を使った場合、目が覚めるまでの時間はどのくらい?
A. 多くの方は検査終了後10~15分で自然に目が覚めます。
-
Q. 検査の日は1日予定を空けたほうがいい?
A. はい、検査当日は自宅での前処置から、病院で検査を受けて帰宅するまで、半日程度はかかるため、基本的に1日空けておくのと安心です。特に鎮静剤を使う場合やポリープ切除をした場合は、検査後も無理せず自宅で安静に過ごすことが大切です。
-
Q. 過去に時間がかかった経験があるけど、何が影響するの?
A. 大腸の長さ(長いほど挿入時間がかかります)、便の残り具合、過去のお腹の手術での癒着の有無、ポリープの切除など処置があった場合に時間がかかることがあります。また、鎮静剤を使った場合に、意識がはっきりするまでに時間がかかると休憩時間が長くなります。
よくある質問を確認したところで、改めて記事全体のポイントを「まとめ」として整理しておきます。
まとめ

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
『大腸内視鏡検査の時間がどれくらいかかるか』についてお分かりいただけましたでしょうか。
⏱ 大腸内視鏡検査|所要時間まとめ表
行程 | 内容 | 所要時間の目安 |
---|---|---|
① | 自宅で下剤の内服 | 約4時間 |
② | 病院まで移動 | 各自の距離による |
③ | 受付・着替え | 約20分 |
④ | 待合室での待機 | 約10分 |
⑤ | 点滴など検査準備 | 約10分 |
⑥ | 大腸内視鏡検査(挿入+観察)+処置 | 約15分+処置分の時間 |
⑦ | 検査後の休憩 | 約15〜60分 |
⑧ | 着替え・待合室で待機 | 約15分 |
⑨ | 検査結果の説明・会計 | 約15分 |
⑩ | 自宅までの移動 | 各自の距離による |
大腸内視鏡検査は、院内の滞在時間としては約2時間、自宅での準備を含めると半日~1日がかりになります。
このため、時間に余裕のある日程を選ぶことをおすすめします。
午前の検査の場合は、下剤を飲む時間が朝早くからとなりますが、午後は時間がフリーとなるため、
時間を有効に使いたい方は、午前の検査を検討してみてください。
この記事が、
- 皆様の健康維持
- 皆様の病気の予防・早期発見・早期治療
- 皆様が大腸肛門科を受診する際の不安の軽減
これらのためにお役に立てれば幸いです。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)
当院の診療について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください
参考文献
- 斎藤 豊,岡 志郎,河村卓二ほか.大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン.日本消化器内視鏡学会雑誌.2020; 62: 1519-1560
- Rex DK, Anderson JC, Butterly LF, et al. Quality indicators for colonoscopy. Gastrointestinal Endosc. 2024: 100: 352-358
- Kaminski MF, Thomas-Gibson S, Bugajski M, et al. Performance measures for lower gastrointestinal endoscopy: a European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) quality improvement initiative. Endoscopy. 2017; 49: 378–397
- Barclay RL, Vicari JJ, Doughty AS, Johanson JF, Greenlaw RL. Colonoscopic withdrawal times and adenoma detection during screening colonoscopy. N Engl J Med. 2006; 355: 2533–2541