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血便とストレスの関係は?【専門医が徹底解説】

私たちはストレスの多い現代社会に生きています。

毎日仕事や家事が忙しくストレスがかかっている状況の中、

「排便時に突然の出血・・・」

これはかなり不安になりますよね。

  • 下痢はしていないし、お腹も痛くない…
  • 会社の検診で便潜血検査も大丈夫だったのに…
  • 他に心当たりがなくストレス以外の原因は考えられない…

そんな思いで検索をされた方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、「血便とストレスの関係はあるの?」といった疑問を解決していきます。

記事の内容

  • 血便と下血の違い
  • 血便とストレスの関係は?
  • ストレスが原因で起こる【過敏性腸症候群】
  • 腹痛や下痢を伴わずに突然の血便をおこす病気
  • 血便の際の診察のながれ
  • はずかしくないおしりの診察
  • 血便の精密検査【大腸内視鏡検査】

この記事の信頼性

この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

埼玉県草加市にある、草加西口大腸肛門クリニックの院長です。

また、大腸と肛門の専門医でもあり指導医でもあります。

これまでに血便や下血で悩む患者さんを10,000人以上診察していきました。

また、年間約1,000件の大腸内視鏡検査をしています。

これまでの経験をもとに本記事では、

血便とストレスの関係について詳細に解説をしていきます。

この記事を読むだけで、ストレスがあった状態で血便が出た際の対処法がわかります。

血便はあなたの体の危険のサイン!

血便(出血)があった際に、

「ストレスがかかっているからかな?」

と自己判断して血便を放置するのは大変危険です。

なぜなら、

血便は命に関わる大腸がんの可能性もあるからです!

血便はあなたの体が発している危険のサインです!

そのサインを見逃さないでください!

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

それでは始めていきましょう!

目次

血便と下血(げけつ)の違い

本題に入る前に、血便と下血の違いについてです。

今回の記事では血便を中心に解説をしています。

血便と下血はどちらも「肛門から出血」することを言います。

違うのは『血の色』です。

  • 血便=便に鮮血が混ざっていて赤色
  • 下血=便に古い血が混ざっていて黒色

出血してから時間がたつと便に混ざる血は赤から黒にかわります。

出血しているところが肛門に近いほど血液は赤く、肛門から遠いほど黒くなります。

※ご注意:今回の記事では便宜上、肛門から血が出ることを総称して『血便』と表現をしている部分もありますのでご了承ください。

血便とストレスの関係は?

結論から言うと、ストレスでは血便になりません!

ストレス以外に体に不調はないけど血便がでるかたは、大腸や肛門の病気の可能性が高いです。

まずは、ストレスが原因で起こる代表的な病気の『過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)』について説明します。

その後で、下痢や腹痛がないのに突然出血ををおこす病気について解説します。

ストレスが原因で起こる病気【過敏性腸症候群】

「最近家事育児でストレスが多く、お腹の調子も悪くなり困っています」

「週末はいいのですが、学校に行こうとすると朝お腹が痛くなり何回もトイレにいきます」

「会議中のプレゼンの時にトイレに行けない状況で緊張するとお腹が痛くなります」

「朝会社まで電車で通っているのですが、途中で何回もトイレのために下車します」

などの症状で悩み、クリニックを受診される方が多くいらっしゃいます。

ストレスが原因で、お腹の不調を起こす病気に『過敏性腸症候群』があります。

『過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)』は、大腸自体に大腸がんや腸炎などの病気がないのが特徴です。

それにもかかわらず、腹痛を伴う便秘や下痢、便秘と下痢を交互にくりかえすなどの便通異常が続く病気です。

日本人の10〜15%が過敏性腸症候群であるといわれています。

若い人や女性に多く、年齢とともに減ってきます。

大腸がんのように命に関わる病気ではありません。

しかし、お腹の痛み・便秘・下痢・不安などの症状が出ます。

そのため、日常生活に支障をきたすようになると治療が必要になります。

過敏性腸症候群のはっきりとした原因はわかっていません。

ただ、身体的・精神的なストレス、内臓知覚過敏や腸内細菌叢(腸内フローラ)が関係しています。

過敏性腸症候群が原因で血便をきたすパターンは以下があります。

下痢になり排便回数が増えたり便秘となることで、もともとある肛門の痔(いぼ痔や切れ痔)が悪くなり出血します。

過敏性腸症候群は、腹痛や下痢・便秘といった症状が必ず伴います。

過敏性腸症候群でおしりの状態が悪化して出血する場合は、おなかの治療と同時におしりの病気の治療も必要となります。

過敏性腸症候群でお悩みの方は、一度クリニックを受診してみてください。

腹痛や下痢・下痢を伴わずに突然の血便をおこす病気

大腸や肛門の病気の多くは、

  • 腹痛
  • おしりの痛み
  • 下痢や便秘

の症状が伴います。

ただ、これらの症状がなく突然の血便がおこった方は要注意です。

命に関わる大腸がんの可能性があるからです。

1.内痔核(いぼ痔)

「今朝トイレに行った時に、お腹もおしりも痛くないのに血便が出ました」

と、突然の血便に不安になり来院される患者さんが非常に多くいらっしゃいます。

突然の出血で最も多いのは内痔核(いぼ痔)からの出血です。

いぼ痔には内痔核と血栓性外痔核の2種類があります。

肛門の外側にできる血栓性外痔核は痛みを伴います。

内痔核は肛門から飛び出るようになると痛みを伴いますが、小さいうちは痛みはありません。

でも、出血はします。

便秘で強くいきんだり、前日の夜にアルコールを飲み過ぎると痔に血液がたまり出血します。

色は鮮血です。

いぼ痔は放置しても癌にはなりません。

生活に支障がなければ治療は不要です。

大事なのは、

『いぼ痔からの出血と思っていたら、実は大腸がんからの出血だった』

という事態をさけることです。

40歳以上になると大腸がんのリスクが増えてきます。

このため、40歳以上でおしりからの出血のある方は大腸内視鏡検査をお勧めしています。

2.大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)

「お腹の痛みも下痢もないのに突然血便が出ました」

と、突然の血便に驚き来院される患者さんがいらっしゃいます。

腹痛や下痢を伴わない突然の出血の場合には大腸憩室出血も考えられます。

大腸憩室とはなんでしょう?

【大腸憩室の大腸内視鏡検査画像】

大腸憩室は大腸の中の圧力が上がることで、

大腸の壁の弱い部分が外側にへこんでしまう状態です。

皮膚でいうシワやシミと一緒で、年齢に伴う大腸の変化です。

大腸がんとも無関係です。

大腸内視鏡検査をした時に発見されることが多いです。

体の変化の一つなので、治療対象にはなりません。

ただ、この憩室が原因で出血をすることがあり、その場合は治療対象となります。

大腸憩室出血の特徴は、

『腹痛や下痢などの痔核症状がない突然の出血』です。

突然出血するので、驚いてクリニックを受診される方が多いです。

日本で大腸憩室のできる人は増えています。

大腸憩室のある人の出血の確率は、

  • 1年で0.2%
  • 5年で2%
  • 10年で10%

と報告されていて決して少ない数字ではありません。

大腸憩室出血は60歳以上の高齢者が約80%を占め、日本では男性に多いです。

大腸憩室出血による死亡率は約1%で、他の病気で起こる大腸出血より死亡率が低いと報告されています。

また、

  • 肥満
  • NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬)
  • アスピリン

などは大腸出血のリスクを高めます。

これらのリスクのある方は、大腸出血の可能性を頭のすみにおいていただき、

突然の血便があった場合には医療機関を受診してください。

大腸憩室出血の診断方法は、

  • 詳細な問診
  • おなかとおしりの診察
  • 血圧・脈拍の測定
  • 血液検査

などを行い、出血量を予測します。

状況によっては、大腸内視鏡検査を行う場合もあります。

出血量が多い場合は、輸血や止血処置が必要となるため入院のできる総合病院をご紹介します。

大腸憩室出血の治療法は、

腸を安静にすることで自然に血が止まることが多いです(自然止血率70〜90%)。

自然に血が止まらない時は、大腸内視鏡検査で止血術を行います。

それでも血が止まらない時は、カテーテル治療で止血します。

どうしても血が止まらない時は、最終手段として大腸をとる手術もあります。

繰り返す大腸出血は注意が必要

先ほど述べたように大腸憩室は加齢によっておこります。

一度できた憩室は自然にはなくなりません。

このため、憩室出血を繰り返すことがあります。

日本での大腸憩室出血の再出血率は、

  • 1年後で20〜35%
  • 2年後で33〜42%

約3割の方が2年以内に再出血するリスクがあります。

一度憩室出血を経験された方は、再出血の可能性もあることを頭にいれておいてください。

そしてまた同じように血が出た時は、すぐに医療機関を受診してください。

3.潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は大腸に炎症を起こし、

  • 下痢
  • 血便
  • 下血
  • 粘血便
  • 腹痛
  • 体重減少

などの症状が出ます。

【潰瘍性大腸炎の大腸内視鏡検査画像】

潰瘍性大腸炎の詳細は、以下の記事をご覧ください。

血便と下血はあなたの体の危険のサイン〜専門医が徹底解説〜

潰瘍性大腸炎の方の多くは下痢や腹痛などの症状を伴いますが、

中にはそれらの症状がなく、血便のみで発症する方もいます。

潰瘍性大腸炎は20〜30代の若い方に発症することが多く、

中学生や高校生で発症する方もいらっしゃいます。

若い方で、『下痢や腹痛などの自覚症状のない出血』の場合には潰瘍性大腸炎の可能性もあります。

放置せず医療機関を受診してみてください。

4.大腸がん

これまで大腸肛門科医として多くの大腸がん患者さんの診療に関わってきました。

大腸がん患者さんのよくある経過として、

  • 数年前からおしりから出血があったが
  • 下痢や腹痛はなかったので痔だと思って放置
  • 数ヶ月前から便がでにくくなり、最近は下痢になってきた
  • 出血量も増えてきたためさすがに心配になり病院受診
  • 大腸内視鏡検査で大腸に進行癌が見つかる

といったケースです。

【大腸癌により腸がせまくなっている内視鏡写真】(オリンパスEndoAtlasより引用)

大腸がんは進行すると写真のように腸がせまくなり、

便秘や下痢などの排便異常をきたします。

排便異常が起こる前の症状として、血便が出る場合があります。

しかし、中には癌がかなり大きくなっても血便を伴わないこともあります。

『血便』は大腸がんを発見するために、あなたの体があなたに発信している危険のサインです。

このため、腹痛や下痢などの症状がない場合でも、

「痔からの出血だろう」と思わず、

一度医療機関を受診してみてください。

大腸がんは数ある癌の中でも、

早期発見・早期治療により完治が望める癌の1つです。

40歳をこえると大腸がんのリスクは増えてきます。

  • 40歳以上で血便がある
  • これまでに一度も便潜血検査をしたことがない
  • これまでに一度も大腸内視鏡検査をしたことがない

このような方は、是非一度当クリニックにご相談ください。

以上、腹痛やおしりの痛み、下痢や便秘などの自覚症状がないのに血便を起こす病気についてまとめてみました。

血便で悩まれている方は、

怖がらず、恥ずかしがらずに一度大腸肛門科を受診してみてください。

ストレスからの血便と思わず診察を受けましょう

ここまで読んでいただき、ストレスのみで血便が起こらないことはお分かりいただけたと思います。

ここからは血便で大腸肛門科を受診した際の診察手順を説明します。

【草加西口大腸肛門クリニックでの問診のようす】

① 問診

患者様の症状やこれまでの経過をおうかがいします。

② 肛門診察

肛門の近くに出血の原因となりうる病気がないかを診察します。

指や肛門鏡という専門の器具を使って診察をします(後ほど詳しくお話しします)。

肛門診察の時間は1〜2分程度となります。

③ 診断名の決定

現状で考えられる診断名をお伝えします。

④ 痔が原因で出血していると考えられる場合

軟膏や内服薬による治療をご案内し、1〜2週間後に必要に応じて再受診していただきます。

再受診の際に血便・下血が続いていた場合は大腸内視鏡検査をお勧めいたします。

⑤ 大腸からの出血の可能性がある場合

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をおすすめします。

※胃や十二指腸からの出血の可能性がある場合は上部消化管内視鏡検査をおすすめします。

血便や下血の際の『はずかしくないおしりの診察』

草加西口大腸肛門クリニックの診察室

「おしりの診察」というと皆さん恥ずかしさと不安でいっぱいだと思います。

「おしりの診察は恥ずかしいからなかなか来られなくて...」

「どういうふうに診察をするのかが分からないので不安です...」

実際に問診の際にはこのような声をよくお聞きします。

草加西口大腸肛門クリニックでは患者さんが恥ずかしくないようにプライバシーに最大限配慮したおしりの診察を心がけています。

当院でのおしりの診察の手順は以下のとおりです。 

① カーテンの中でズボンや下着をおしりが見えるくらいまで下ろして診察台に横になっていただきます。

② おしりに清潔なシートをかけさせていただきます。これで診察の準備が完了です。

③ 視診察(見て観察)をします。

④ 指診察(指で診察)をします。

⑤ 肛門鏡(痔の様子などを詳しく観察できる特殊な器械)で診察をします。

【おしりの診察に使う肛門鏡】

⑥ 診察が終わりましたらカーテンの中でゆっくりお着替えをしていただきます。

おしりの診察のながれは以上です。

診察時間は1〜2分程度です。

女性の診察の場合には女性スタッフがすぐそばにおりますので安心して診察を受けていただけます。

血便や下血での大腸内視鏡検査

おしりの診察の後に大腸からの出血が疑わしい場合には大腸内視鏡検査をおすすめします。

先に述べたように血便や下血は大腸がんのサインである可能性もあり、命に関わる病気を知らせる体の悲鳴です。

そのため大腸内視鏡検査を行い血便や下血の原因を特定していきます。

当クリニックでの大腸内視鏡検査は、痛みや恥ずかしさはほとんどありません。

これまで10,000例以上の大腸内視鏡検査をしてきましたので、痛みが出ないテクニックを体得しています。

また『つらくない内視鏡検査』のため、鎮静剤や鎮痛剤も使用しています。

患者さんからもよく、

「痛みがなくて楽でした」

「こんなにスムーズに終わるなら早めに受けておけばよかった」

などの嬉しい言葉をたくさんいただきます。

また、当クリニックの大腸内視鏡検査は院長の私が全て担当しております。

このため過去の検査情報を十分に生かすことで、患者さん一人一人に個別化した内視鏡検査『テーラーメード内視鏡』が可能となっています。

また、大腸内視鏡検査のときの体勢は以下のようになります。

おしりが少しだけ見える検査着を着ていただきます。

「恥ずかしくて無理」

などと言われる患者さんもこれまでいらっしゃいません。

検査時間も20分程度です。

このように当クリニックでは、痛みや恥ずかしさがなく安心して受けられる大腸内視鏡検査を行っています。

以下に検査の予約から検査終了までの流れを簡単にまとめてみました。

まとめ

最後まで記事を読んでいただきましてありがとうございました。

繰り返しお伝えしますが、ストレスが直接の原因で大腸や肛門から出血する病気はありません。

ストレスがかかっている以外に、特に体に不調はなく血便の出る方は、1人で悩まず、一度クリニックにご相談ください。

『血便』は大腸がんを発見するために、あなたの体があなたに発信している危険のサインです。

『血便』というサインを無視して大腸がんを見逃さないでください!

この記事が、

  • 皆様の健康維持
  • 皆様の病気の早期発見・早期治療
  • 皆様が肛門科を受診する際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

草加西口大腸肛門クリニックのHPはこちら▶︎▶︎▶︎https://soka-ok2.jp

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この記事を書いた人

大腸肛門科医
【経歴】弘前大学医学部卒業▶︎横浜市立大学研修医▶︎神奈川県立がんセンター・大腸外科▶︎社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター▶︎2018年から草加西口大腸肛門クリニック院長
●診療理念『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
●大腸とおしりの悩みを解決します!

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