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大腸メラノーシスにならない便秘薬7選【専門医が徹底解説】

日頃から便秘薬を内服していて、大腸内視鏡検査を受けたら、

大腸が真っ黒で、医師から「メラノーシスがありますね、便秘薬が原因ですね」と言われて、

「どうしよう!」と思って検索した方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、「大腸メラノーシスにならない便秘薬」について、専門医がわかりやすく解説していきます。

なお、大腸メラノーシスの基本的な原因・症状・治療法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

この記事の内容

  • 大腸メラノーシスとは?
  • 大腸メラノーシスにならない便秘薬(処方薬)は?
  • 大腸メラノーシスにならない市販の便秘薬の選び方

この記事の信頼性

この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

この記事を読めば、『大腸メラノーシスにならない便秘薬』がわかり、すぐに適切な行動がとれるようになります。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

それでは始めていきましょう。

この記事は、草加西口大腸肛門クリニックの院長が専門医の立場から執筆しています

目次

大腸メラノーシスとは?

【大腸メラノーシスの内視鏡検査写真】

大腸メラノーシスとは、大腸内視鏡検査の際に見られる「腸の粘膜が褐色〜黒っぽく色素沈着している」状態をいいます。

専門的には「リポフスチン」という物質がマクロファージ(貪食細胞)に蓄積したものとされています。

大腸メラノーシスの原因は、アントラキノン系と呼ばれる植物由来の便秘薬や健康食品の長期使用です。

  • センノシド系:センノシドA・Bを主成分とする
  • ダイオウ系:大黄を主成分とする
  • アロエ系

があります。

大腸メラノーシス大腸が黒っぽくなりますが、下痢や出血などの症状はなく、

大腸内視鏡検査をした時に偶然発見されることがほとんどです。

処方薬の「一般名」と「商品名」

それぞれの便秘薬についてみていく前に、処方薬の「一般名」と「商品名」について少し説明をします。

薬には「一般名」と「商品名」の2つの名前があります。

これを知っておくと、薬の説明や処方箋の内容がもっとわかりやすくなります。

例えば、解熱鎮痛剤でよく知られる「ロキソニン®」は商品名で、一般名は「ロキソプロフェン」です。

  • 商品名:製薬会社がつけたブランド名
  • 一般名:薬の成分そのものの名前で、世界共通

日本では、先発医薬品(最初に開発された薬)は商品名を使うことが多く、

後発医薬品(ジェネリック)では「一般名+会社名など」の表記が一般的です。

実際の薬の名前の違い(ロキソニンの場合)

先ほどのロキソニン®を例にみてみると、以下の表のようになります。

先発品はロキソニン®ですが、後発品(ジェネリック)は15種類もあります。

一般名商品名先発/後発(ジェネリック)製薬会社
ロキソプロフェンナトリウム水和物錠ロキソニン錠60mg先発第一三共
ロキソプロフェンナトリウム60mg錠ロキソプロフェン錠60mg「EMEC」後発(ジェネリック)エルメッド/日医工
ロキソプロフェンNa錠60mg「KO」寿薬品
ロキソプロフェンNa錠60mg「NPI」日本薬品
ロキソプロフェンNa錠60mg「OHA」大原薬品/旭化成ファーマ
ロキソプロフェンNa錠60mg「YCK」辰巳化学
ロキソプロフェンNa錠60mg「YD」陽進堂/共創未来ファーマ
ロキソプロフェンNa錠60mg「あすか」あすか製薬/武田薬品
ロキソプロフェンNa錠60mg「アメル」共和薬品
ロキソプロフェンNa錠60mg「サワイ」メディサ新薬/沢井製薬
ロキソプロフェンNa錠60mg「三恵」三恵薬品
ロキソプロフェンNa錠60mg「三和」三和化学研究所
ロキソプロフェンNa錠60mg「武田テバ」武田テバファーマ/武田薬品」
ロキソプロフェンNa錠60mg「ツルハラ」鶴原製薬
ロキソプロフェンNa錠60mg「トーワ」東和薬品/共創未来ファーマ
ロキソプロフェンNa錠60mg「日新」日新製薬

商品名が変わっても成分(一般名)が同じなら、効果は同等です。

以前の薬と名前が違っていて、よくわからない時は、薬剤師に「成分は同じですか?」と聞くのがお勧めです。

大腸メラノーシスにならない便秘薬は?

大腸メラノーシスの原因は、「アントラキノン系の刺激性下剤」です。

ということは、アントラキノン系の成分が入っていない便秘薬を使えばいいのです。

具体的には、

  • センノシド
  • ダイオウ
  • アロエ

という成分が含まれていない便秘薬ということになります。

ここからは、病院での処方薬を中心に説明し、最後に薬局などで買える市販薬(OTC薬)についても説明をしていきます。

なお、大腸メラノーシスの原因となるアントラキノン系の薬剤について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

大腸メラノーシスにならない便秘薬7選【処方薬】

病院で処方される薬で、大腸メラノースにならない便秘薬は多くありますが、

ここでは、私が日頃の診療でよく処方する薬を中心に説明していきます。

まずは薬剤名と薬価の一覧表を示します。

スクロールできます
便秘薬の種類商品名一般名特徴1日服用回数薬価
非刺激性便秘薬マグミット®酸化マグネシウム腸に水を集める1〜3回5.9円/錠
モビコール®マクロゴール4000腸に水を集める1〜3回61.4円/包(LD)
グーフィス®エロビキシバット水和物胆汁酸を利用し腸の動きを促進1回80.2円/錠
リンゼス®リナクロチド水分分泌促進+腹痛軽減1回64.5円/錠
アミティーザ®ルビプロストン水分分泌促進2回96.9円/カプセル(24μg)
ラグノス®NFラクツロース腸に水を集める2回49.4円/包
漢方薬大建中湯®大建中湯腸を温めて動かす2〜3回45.1円/包
(追加)
刺激性便秘薬
ラキソベロン®ピコスルファートナトリウム水和物腸を直接刺激1回(頓用)6.1円/錠

「メラノーシスになりたくない」という方は、上記の薬剤の中から処方をしてもらうのがいいと思います。

ただ、以前からあるマグミット®は安価ですが、2012年以降に発売されている新規の便秘薬

  • アミティーザ®(2012年)
  • リンゼス®(2017年)
  • グーフィス®(2018年)
  • モビコール®(2018年)
  • ラグノス®NF(2018年)

は、マグミット®と比較すると高価です。

便秘薬は基本的には毎日内服するものなので、薬の値段も薬剤を選ぶ上では重要なポイントです。

ここからは、メラノーシスにならない非刺激性便秘薬7つについて説明していきます。

そして最後に、唯一の刺激性下剤のラキソベロンも追加で説明します。

メラノーシスにならない便秘薬①【マグミット®】

マグミット®とは?

マグミット®は腸に水分を集めて便を軟らかくし、自然な排便を促すタイプの便秘薬です。

おそらく今、日本で一番処方されている便秘薬といえます。

  • 商品名:マグミット®
  • 一般名:酸化マグネシウム

この薬は、「浸透圧下剤」の中の、「塩類下剤」に分類されます。

酸化マグネシウムは、腸管内に水分を引き寄せる作用があり、便をやわらかく・かさを増やすことで、大腸の自然な蠕動(ぜんどう)運動を促して排便をうながします。

腸を直接刺激するタイプの下剤ではないため、腹痛が起こりにくく、穏やかに作用するのが特徴です。

価格も安価で昔からよく使われているため、処方頻度が高く、小児から高齢者まで幅広く使用されています。

マグミット®が向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 腸を刺激せず、自然な排便を促したい方
  • 他の刺激性下剤で腹痛などの副作用があった方
  • 長期間、安定して使用できる便秘薬を探している方
  • 小児や高齢の方など、安全性を重視したい場合
  • 費用のことが気になる方
注意点:

マグミット®は比較的安全性が高い便秘薬ですが、飲みすぎると下痢になることがあります

また、長期服用や高用量の場合、血中マグネシウム濃度が上がる(高マグネシウム血症)ことがあり、特に腎機能が低下している方では注意が必要です。

そのため、服用量や継続期間については、必ず医師と相談しながら調整しましょう。

メラノーシスにならない便秘薬②【モビコール®】

モビコール®とは?

モビコール®は、腸内に水分を集めて便をやわらかくし、スムーズな排便を促す便秘薬です。

商品名:モビコール®
一般名:ポリエチレングリコール(マクロゴール4000)

この薬は「浸透圧性下剤」に分類され、その中でも「ポリエチレングリコール製剤」にあたります。

水に溶かして飲む粉末タイプで、腸内で水分を保持することによって便をやわらかくし、かさを増すことで大腸の自然な蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進します。

水以外にも、オレンジジュースやスポーツドリンクなどに溶かして飲むことができるため、味や飲みやすさに配慮したい方にも適しています。

また、腸に刺激を加えずに自然に排便を促すため、腹痛が起こりにくく、穏やかに作用するのが特徴です。

日本では比較的新しい薬ですが、欧米では長年使用されてきた実績があり、小児から高齢者まで幅広く使われています。

モビコール®が向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 腸を刺激せずに、やさしく排便を促したい方
  • 腹痛を起こしやすい他の便秘薬が合わなかった方
  • 水分摂取ができ、粉薬でも抵抗がない方
  • お子さんや高齢の方など、安全性を重視したい場合
注意点:

モビコール®は比較的安全性が高い便秘薬ですが、用量を超えて多く飲みすぎると、水分が多くなりすぎて下痢になることがあります。

また、水に溶かして飲む必要があるため、飲むタイミングや量の調整が面倒に感じることもあります。

モビコール®とマグミット®の違いは?

「モビコール®とマグミット®は似てるけど、どっちがいいの?」

と思った方は多いのではないでしょうか。

どちらも腸の中に水分を引き寄せ、便を軟らかくしてかさを増やし、自然な排便を促す薬です。

作用は似ていますが、使いやすさや向いている人には違いがあります。

以下に2つの違いを簡単にまとめました

モビコール®マグミット®
メリット・水に溶かして飲むので小児でも飲みやすい
・腎機能が悪い人でも安全に使える
・錠剤で手軽に飲める
・値段が安く経済的
デメリット・値段が高め
・水に溶かして飲む手間がかかる
・腎機能が悪い人には使いにくい

選ぶポイントは、

  • 飲みやすさ
  • 手間
  • 費用
  • 腎臓への負担

です。

どちらが自分に合っているかは、体質・年齢・生活スタイルで変わります。

迷った場合は、医師や薬剤師に相談すると安心です。

メラノーシスにならない便秘薬③【グーフィス®】

グーフィス®とは?

グーフィス®は、腸の動きを自然に活発にして、スムーズな排便を促す、日本で開発された新しいタイプの便秘薬です。

  • 商品名:グーフィス®
  • 一般名:エロビキシバット水和物

「胆汁酸トランスポーター阻害薬」に分類されるこの薬は、胆汁酸の働きを利用して自然な排便を促します。

腸の動きを助ける薬ですが、センナやダイオウのようなアントラキノン系下剤ではないため、メラノーシスの心配はありません

服用から約5時間で効果が現れるという報告があり、即効性が期待できるうえ、継続使用でも効果が安定していることが確認されています。

また、1日1回、食前に服用するだけなので、継続しやすい点も魅力です

グーフィス®が向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 排便だけでなく、腸の自然な動きを取り戻したい方
  • 毎日の排便リズムを作りたい方
  • メラノーシスを避けたいけど、しっかり効果のある薬を使いたい方
  • 1日1回の服用で済む、続けやすい便秘薬を探している方
注意点:

グーフィス®は、腸を刺激するわけではなく自然な排便を促す薬ですが、飲み始めに腹痛や下痢が出やすいことがあります

そのため、自分に合った量を見つけるまで、医師と相談しながら調整していくことが大切です。

また、胆汁酸の作用を利用するため、食事と関係して薬の効果が出やすい傾向があり、食前に服用するのが基本です。

メラノーシスにならない便秘薬④【リンゼス®】

リンゼス®とは?

リンゼス®は、便秘を改善するだけでなく、お腹の痛みや不快感も和らげてくれる便秘薬です。

商品名:リンゼス®
一般名:リナクロチド

この薬は、「グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬」という新しいタイプに分類され、

腸の粘膜に作用し、腸管内の水分分泌を促進し、便をやわらかくして排便を促します。

さらに、腸の痛みを感じる神経をしずめる作用もあるため、お腹の張りや痛みの軽減にも効果があります。

そのため、「便秘+お腹の不快感」を同時に改善したい方に向いている薬です。

また、1日1回食前の服用で継続しやすいのも特徴です。

リンゼス®が向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 便秘に加えて、お腹の張りや痛みも気になる方
  • IBS(過敏性腸症候群)の便秘型と診断された方
  • なるべく自然に近い形で排便を促したい方
  • 1日1回の服用で続けやすい便秘薬を探している方
注意点:

リンゼス®は腸を刺激しない優しい薬ですが、服用初期に下痢が起こりやすいのが特徴です。

そのため、飲み始めは下痢に注意しながら、医師の指示に従って服用を続けましょう。

どちらかというと、即効性よりも継続的な使用で効果を実感するタイプの薬になります。

メラノーシスにならない便秘薬⑤【アミティーザ】

アミティーザ®とは?

アミティーザ®は、腸に水分を集めて便をやわらかくし、自然な排便を促すタイプの便秘薬です。

商品名:アミティーザ®
一般名:ルビプロストン

この薬は、「塩素チャネルアクチベーター(ClC-2チャネル活性化薬)」という新しいタイプの便秘薬です。

腸の粘膜にある塩素チャネル(ClC-2チャネル)を活性化することで、

腸管内への水分分泌を促進し、便をやわらかくして排便を促します。

腸を直接刺激するわけではないため、腹痛が起こりにくいのが特徴です。

慢性便秘症に対して広く使われており、過敏性腸症候群の便秘型(IBS-C)にも保険適応があります。

1日2回の服用が基本で、食後に内服することで吐き気の副作用を軽減できます。

アミティーザ®が向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 腸の動きが悪く、自然な排便を促したい方
  • 慢性便秘症で、他の薬では効果が不十分な方
  • IBS(過敏性腸症候群)の便秘型と診断されている方
  • 腹痛が少ない便秘薬を希望する方
注意点:

アミティーザ®は腹痛が起こりにくく、体にやさしい薬ですが、

内服初期に吐き気が出やすいため、必ず食後に服用することが推奨されます。

また、妊娠中や妊娠を希望する方には使用できないため、服用を開始する前に必ず医師に相談が必要です。

メラノーシスにならない便秘薬⑥【ラグノス®NF】

ラグノス®とは?

ラグノス®は、「腸内環境改善+便秘改善」の両方をねらえる、やさしいタイプの便秘薬です。

商品名:ラグノス®NF
一般名:ラクツロース

この薬は「浸透圧性下剤」の中でも「糖類下剤」に分類されます。

腸内でビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やしながら、腸内の浸透圧を高めて水分を集めることで、便をやわらかくして排便を促します。

さらに、腸内を酸性に保つことで、腸の動きをサポートし、腸内環境のバランスも整えます。

この働きから、肝性脳症という病気の治療薬として使われることもあります。

ゼリー状の剤形で飲みやすく、継続しやすいのも特徴です。

ラグノス®が向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 腸内環境を整えながら、やさしく便秘を改善したい方
  • お腹が張りやガスが気になる方
  • なるべく腹痛を起こさずに自然な排便を目指したい方
  • 飲みやすいゼリータイプを希望する方
注意点:

ラグノス®は穏やかに効く薬ですが、飲みすぎると下痢を起こすことがあります。

そのため、服用量は自己判断せず、医師の指示に従って調整することが大切です。

また、即効性のある薬ではないため、継続的に服用することで効果を発揮するタイプの便秘薬です。

メラノーシスにならない便秘薬⑦【大建中湯®】

大建中湯とは?

大建中湯は、体を内側から温めて腸の動きを整える漢方薬です。

商品名:大建中湯エキス顆粒(医療用)
一般名:大建中湯

大建中湯は、以下の4つの生薬から構成されています。

  • サンショウ(山椒)
  • ショウガ(生姜)
  • ニンジン(人参)
  • コウイ(膠飴・麦芽糖)

サンショウやショウガと聞くと、なんとなく体が温まる感じがしますよね?

まさにそのイメージ通り、腸の冷えを改善し、やさしく働きかけてくれる薬です。

大建中湯が向いている人と注意点

大建中湯は、腸の血流を良くし、腸の動きを活発にすることで自然な排便を促します。

腸を直接刺激する薬ではないため、腹痛が起こりにくく、体にやさしいのが特徴です。

次のような方におすすめです:
  • 冷えやストレスで腸の働きが弱っている
  • お腹の張りやガスが気になる
  • 急いで排便をさせたいわけではなく、体質改善を目指したい
  • 術後の腸閉塞予防として医師に勧められた
注意点:

一方で、「即効性」はあまり期待できません

じっくりと体質を整えていくタイプの薬なので、継続的な服用が大切です。

(追加)メラノーシスにならない刺激性の便秘薬【ラキソベロン®】

ラキソベロン®とは?

ラキソベロン®は、腸を直接刺激して排便を促すタイプの便秘薬です。

即効性が高く、頑固な便秘や一時的な便秘の対処に使われることが多い薬です。

同じ刺激性下剤でも、センナやダイオウなどの「アントラキノン系下剤」ではないので、メラノーシスの心配はありません

商品名:ラキソベロン®
一般名:ピコスルファートナトリウム水和物

ラキソベロン®は、大腸内で腸内細菌によって分解されて活性化し、大腸の神経を刺激して腸の蠕動(ぜんどう)運動を強く促すことで排便を促します。

さらに、腸内の水分分泌を増やす作用もあり、便をやわらかくする効果もあります。

また、剤形が2種類あり使い分けができるのも特徴です。

  • 液体タイプ(滴下式):滴数で細かく量を調整できる
  • 錠剤タイプ:手軽に飲めて扱いやすい

ラキソベロンが向いている人と注意点

次のような方におすすめです:
  • 数日間便が出ていないなど、急いで排便したいとき
  • 通常の便秘薬では効果が乏しい、頑固な便秘のとき
  • 一時的に排便が必要な検査前イベント前などの場面
  • 服用量を細かく調整できる液体タイプを使いたい方
注意点:

使い続けると腸が薬に慣れて効きにくくなる(耐性・習慣性)リスクがあるので、連用はNGです。

また、刺激性の下剤のため腹痛や下痢を起こしやすいことがあります。

このため、「最終手段」として短期間だけ使用する薬と考え、必ず医師の指示に従って使用しましょう。

大腸メラノーシスにならない市販の便秘薬の選び方

「便秘が気になっているけど、なかなか病院にいけない」

「まずは市販の便秘薬を試してみたい」

という方もいらっしゃると思います。

大腸メラノーシスにならない市販の便秘薬の選び方は、

  • アントラキノン系の成分(センナ・ダイオウ・アロエ)が含まれていないものを選ぶ

ということです。

  • パッケージの後ろの成分の部分を見て確認
  • 薬局の薬剤師に相談する

のがいいと思います。

ただし、便秘の状況によっては、一時的に腸を刺激して便を出したほうがいいこともあり、

アントラキノン系の成分が入った便秘薬も必要なこともあるため、

「便秘がつらいけど病院には行けず、薬局にしか行けない」

という方は、薬剤師に相談をしてみてください。

ここでは薬局で買える市販薬について、非刺激性便秘薬と刺激性便秘薬に分けていくつかご紹介します。

大腸メラノーシスにならない薬局で買える【非刺激性便秘薬】

大腸メラノーシスにならない、非刺激性の便秘薬代表は、

処方薬でも出てきた浸透圧性便秘薬の「酸化マグネシウム」です。

各社からいろいろな商品が出ていますので、一例をご紹介します。

製品名成分製薬会社
酸化マグネシウムE便秘薬酸化マグネシウム健栄製薬
マグミット®K酸化マグネシウムマグミット製薬
ビオフェルミン®酸化マグネシウム便秘薬酸化マグネシウム+ビオフェルミン(整腸剤:乳酸菌)大正製薬

主成分は処方薬と同じ、酸化マグネシウムです。

便秘の治療を「まずは市販薬から始めたい」という方は、

腸にやさしい非刺激性便秘薬の「酸化マグネシウム」からスタートするといいかもしれません。

大腸メラノーシスにならない薬局で買える【刺激性便秘薬】

「数日前から便が出なくて、どうしてもすぐ出したいけど、病院に行く時間がない」

という方へ、薬局で買える非アントラキノン系の刺激性便秘薬をご紹介します。

有名なのは「ピンクの小粒」で知られる以下の商品です。

製品名成分製薬会社
コーラックⅡビサコジル大正製薬
ビューラックA錠ピコスルファートナトリウム皇漢堂製薬

ビサコジルは、大腸刺激性下剤に分類され、腸を直接刺激して便を出すタイプ下剤です。

処方薬では、「テレミンソフト®(坐薬)」などがよく使われます。

ピコスルファートナトリウムは、処方薬のラキソベロン®の主成分です。

コーラックⅡやビューラックA錠は、非アントラキノン系のため、メラノーシスにはなりませんが、

市販薬といえども、刺激性の便秘薬のため、腹痛や耐性のリスクはあるので、

「どうしても便がでないとき」だけに使うようにするのがお勧めです。

まとめ

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。

『大腸メラノーシスにならない便秘薬』についてお分かりいただけましたでしょうか。

種類が多いと、「結局どれを飲んだらいいの?」と悩んでしまう方もいると思います。

それぞれの薬には特徴があり、内服する方の便秘の状況も個人差があります。

治療中の病気のある方、妊娠・授乳中の方、小児などでは使いにくい薬もあります。

費用の面からみると、昔から使われているマグミット®は比較的安価ですが、最近登場した新しい薬は効果が高い一方、値段が高くなる傾向もあります。

また、同じ薬を飲んでも、便秘に対する効果の感じ方も人それぞれです。

そのため、体質や生活状況に合わせて、「自分に合った薬を選ぶ」ことが大切です。

最近は、市販薬や健康食品にもいろいろ「便秘に効く」というものがたくさん出ています。

しかし、成分をよく見ると、メラノーシスの原因となるアントラキノン系の刺激性下剤が含まれていることも少なくありません。

「健康食品だから安心」と思って長期間使い続け、いざ大腸内視鏡検査をしたら「腸が真っ黒でびっくり…」という方も実際にいらっしゃいます。

もし、日頃から便秘に対して、市販薬や健康食品などを使っている場合は、ぜひ一度その成分を確認してみてください。

そして、アントラキノン系の成分が含まれていたら、一度病院で相談をしてみてください。

アントラキノン系の刺激性下剤について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

この記事が、

  • 皆様の健康維持
  • 皆様の病気の予防・早期発見・早期治療
  • 皆様が大腸肛門科を受診する際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

当院の診療について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください

参考文献

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この記事を書いた人

大腸肛門科医
【経歴】弘前大学医学部卒業▶︎横浜市立大学研修医▶︎神奈川県立がんセンター・大腸外科▶︎社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター▶︎2018年から草加西口大腸肛門クリニック院長
●診療理念『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
●大腸とおしりの悩みを解決します!

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