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難消化性デキストリンとは?食物繊維としての働きと便通への影響【専門医が徹底解説】

「難消化性デキストリンって何?」

食品表示や健康食品で見かけることはあっても、どのような成分なのかはよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。

難消化性デキストリンは、トウモロコシなどのデンプンから作られる水溶性食物繊維の一種で、

飲み物や粉末タイプの食物繊維、特定保健用食品などにも広く使われている身近な成分です。

この記事では、難消化性デキストリンについて、主に食物繊維としての働きと便通への影響について、専門医の立場からわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 難消化性デキストリンの食物繊維としての働き
  • 難消化性デキストリンと腸内細菌・便通との関係
  • 難消化性デキストリン摂取の際の注意点

目次

この記事の信頼性


草加西口大腸肛門クリニック院長・金澤 周

amane

  • 草加西口大腸肛門クリニック院長
  • 消化器内視鏡学会 専門医
  • 大腸肛門病学会 専門医
  • 抗加齢医学会 専門医(アンチエイジング専門医)
  • 年間約1,000件の大腸内視鏡を担当

診療理念「あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために」

この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

この記事は、草加西口大腸肛門クリニックの院長が、外来での実際の指導、公的資料、論文、各製品の公式情報をもとに、専門医の立場から執筆しています。

難消化性デキストリンとは?

デンプンから作られる水溶性食物繊維の一種

難消化性デキストリンは、主にトウモロコシなどのデンプンを原料として製造される水溶性の食物繊維です。

消費者庁の資料でも、難消化性デキストリンは、トウモロコシデンプンに由来する食物繊維成分として扱われています。

水に溶けやすく、味や匂いも比較的少ないため、

お茶、コーヒー、清涼飲料、粉末タイプの食物繊維など、あなたの身近にもある様々な食品に利用されています。

「難消化性」とは、ヒトの消化酵素では消化されにくいと言う意味です。

そのため、難消化性デキストリンは小腸で吸収されにくく、大腸までとどき、腸内細菌に利用されると考えられています。

「デキストリン」と「難消化性デキストリン」の違いは?

「デキストリン」と「難消化性デキストリン」、

この2つは、名前はよく似ていますが、同じものではありません。

まず、「デキストリン」はデンプンを分解して作られる「糖質(炭水化物)」の一種で、

ヒトの消化酵素で消化されやすい成分です。

一方、「難消化性デキストリン」は、デンプンを原料として作られる成分のうち、

ヒトの消化酵素では消化されにくい性質を持つ水溶性食物繊維です。

「デキストリン」は消化されやすく、小腸で吸収されてエネルギー源となるため、エネルギー補給型の食品にも使われます。

一方で、「難消化性デキストリン」は消化されにくいため、小腸では吸収されにくく、大腸まで届いて食物繊維として働きます。

このように名前は似ている2つの物質ですが、使用目的は大きく異なります。

そのため、食物繊維としての働きを期待する場合には、

原材料名や栄養成分表示で「難消化性デキストリン」と書かれていることを確認しましょう。

便通だけでなく、食後の血糖値や中性脂肪の上昇をおだやかにする目的でも使われる

難消化性デキストリンは、食後血糖値や食後中性脂肪の上昇をおだやかにする目的でも使われています。

実際に、特定保健用食品や機能性表示食品などでは、

食後の血糖値や中性脂肪が気になる方向けの商品に配合されていることがあります。

ただし、難消化性デキストリンは、糖尿病や脂質異常症を治療する薬ではありませんので、

実際に血糖値や中性脂肪が高い方、糖尿病や脂質異常症を治療中の方は、

難消化デキストリンを摂取して様子を見るのではなく、医療機関を受診してください。

食後血糖値や中性脂肪との関係については、別の記事で詳しく解説します。

ダイエット目的で使われることがある

難消化性デキストリンは、ダイエット目的で注目されることもあります。

ただし、難消化性デキストリンは、飲むだけで体重を減らす成分ではありません。

食物繊維不足を補い、便通や食後血糖値、中性脂肪を意識した食生活を支える成分として考えるとよいでしょう。

難消化性デキストリンとダイエットとの関係については、別の記事で詳しく解説します。

難消化性デキストリンはどこで使われているの?

難消化性デキストリンは、粉末タイプの食物繊維やサプリメントだけでなく、さまざまな食品や飲料にも使われています。

たとえば、お茶、コーヒー、清涼飲料、炭酸飲料、お菓子類など、普段スーパーやコンビニで目にする商品にも配合されていることがあります。

以下は、難消化性デキストリンを含む商品の一例です。販売状況や表示内容は変更されることがあるため、実際に選ぶ際は、商品の原材料名や表示内容を確認してください。

商品例種類表示されている主な機能
からだすこやか茶W+特定保健用食品脂肪の吸収を抑える
糖の吸収をおだやかにする
内臓脂肪を減らすのを助ける
綾鷹 特選茶特定保健用食品脂肪の吸収を抑える
糖の吸収をおだやかにする
コカ・コーラ プラス特定保健用食品脂肪の吸収を抑える
食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする
ペプシスペシャル ゼロ特定保健用食品脂肪の吸収を抑える
食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする

また、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品にも広く使われています。

トクホや機能性表示食品は、健康の維持や増進に役立つ機能を表示できる食品ですが、薬ではありません。

トクホと機能性表示食品の違いについては、別の記事で詳しく解説します。

つまり、難消化性デキストリンは「特別な健康食品だけに入っている成分」というより、

私たちの生活の中で比較的身近に使われている食物繊維成分と考えるとよいでしょう。

難消化性デキストリンは腸でどのように働く?

難消化性デキストリンは、小腸で消化・吸収されにくく、大腸まで届く水溶性食物繊維です。

報告では、摂取した難消化性デキストリンのうち、

約90%が小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達し、

その約半分が腸内細菌に利用され、残りは便として排泄されるとされています。

大腸で腸内細菌に利用されると、短鎖脂肪酸などが作られます。

短鎖脂肪酸は、腸内環境や大腸の働きに関係する物質として注目されています。

一方で、難消化性デキストリンは、イヌリンのように発酵されやすい食物繊維と比べると、発酵は比較的おだやかと考えられます。

そのため、イヌリンでガスやお腹の張りが出やすい方でも、

難消化性デキストリンでは比較的使いやすい場合があります。

ただし、難消化性デキストリンでも、摂取量が多い場合や体質によっては、

お腹がゆるくなったり、張りを感じたりすることがありますので注意も必要です。

このように、難消化性デキストリンは、大腸まで届いて腸内細菌に一部利用されながら、便通や腸内環境に影響する水溶性食物繊維と考えられます。

難消化性デキストリンは便秘に役立つ?

難消化性デキストリンは、便秘対策の選択肢の1つになる可能性があります。

難消化性デキストリンの摂取によって、便の量や排便回数が増える可能性を示した研究があります。

そのため、便の回数が少ない方、食物繊維が不足しがちな方、腸活の一環として便通を整えたい方では、

難消化性デキストリンが役立つことがあるため、取り入れてみるのもいいかもしれません。

難消化性デキストリンは下痢・軟便に役立つ?

難消化性デキストリンは、下痢を止めるための成分ではありません。

便通を整える目的で使われることはありますが、体質や摂取量によっては、お腹がゆるくなることがあります。

実際に、難消化性デキストリンを含む食品では、「摂りすぎ、あるいは体質・体調によりおなかがゆるくなることがある」と注意書きされていることがあります。

そのため、もともと下痢や軟便が続いている方が、自己判断で難消化性デキストリンを多く摂ることはおすすめできません。

難消化性デキストリンは腸活・菌活に役立つの?

難消化性デキストリンは、「腸内細菌に利用される食物繊維」として、腸活・菌活に役立つ可能性があります。

これまでの内容のまとめにもなりますが、難消化性デキストリンは、

・摂取したうちの約90%が小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く
・そのうち約半分が腸内細菌に利用される
・腸内細菌によって短鎖脂肪酸などが作られる
・短鎖脂肪酸は、腸内環境や大腸の働きに関係する
・便の量や排便回数を増やす方向に働く可能性がある

といった流れで、腸内環境や便通に関係すると考えられています。

難消化性デキストリン摂取時の注意点

これまでも、難消化性デキストリン摂取時の注意点についてはお伝えしてきましたが、

ここでもう一度まとめてみたいと思います。

  • 最初は少量から始める
  • 商品に書かれている摂取量の目安を守る
  • お腹が緩くなる場合は量を減らす
  • 体に合わないと感じるときは無理に続けない
  • 糖尿病や脂質異常症を治療中の方は、食品で様子をみずに医療機関で相談する

難消化性デキストリンは、腸活・菌活の選択肢の1つですが、

全ての方に合うわけではありませんし、たくさんとればいいというものでもありません。

自分の便通やお腹の反応を見ながら、無理せずに取り入れていきましょう。

Q&A|難消化性デキストリンに関するよくある質問

ここではよくある質問をまとめてみました。

難消化性デキストリンとは何?

難消化性デキストリンは、主にトウモロコシなどのデンプンを原料として作られる水溶性食物繊維です。ヒトの消化酵素では消化されにくく、大腸まで届いて一部が腸内細菌にに利用されると考えられています。

デキストリンと難消化性デキストリンはは同じもの?

名前は似ていますが、同じものではありません。デキストリンはデンプンを分解して作られる糖質の一種です。一方、難消化性デキストリンは、デンプンを原料として作られる成分のうち、ヒトの消化酵素では消化されにくい性質を持つ水溶性食物繊維です。そのため、食物繊維としての働きを期待する場合には、原材料名や栄養成分で、「難消化性デキストリン」と書かれているかを確認するのが重要です。

難消化性デキストリンは便秘に役立つの?

難消化性デキストリンは、便秘対策の選択肢の一つになる可能性があります。大腸で腸内細菌に利用され、短鎖脂肪酸などの物質が作られることで、腸内環境や排便習慣に関わると考えられています。

難消化性デキストリンは下痢や軟便にも使えるの?

難消化性デキストリンは、下痢や軟便を止めるための成分ではありません。もともと下痢や軟便の方はかえって便がゆるくなることもがありますので、あまりお勧めはできません。

難消化性デキストリンは血糖値や中性脂肪、ダイエットに役立つの?

難消化性デキストリンは、食後の血糖値や中性脂肪の上昇を穏やかにする目的で使われることがあります。また、ダイエット目的で注目もされています。ただし、治療薬ではありませんし、摂取するだけで体重が減る成分でもありません。

血糖値や中性脂肪、ダイエットとの関係については、別の記事で詳しく解説します。

難消化性デキストリンを摂取するときの注意点は?

難消化性デキストリンは、比較的取り入れやすい水溶性食物繊維ですが、摂りすぎるとお腹がゆるくなることがあります。最初は少量から始め、商品に書かれている摂取量を守ることが大切です。

難消化性デキストリンはサイリウムやイヌリンとは何が違うの?

3つとも、食物繊維として使われますが、性質や腸での働き方は少し異なります。サイリウムは水を吸ってふくらみ、便の形を整える方向に働きます。イヌリンは腸内細菌に発酵されやすく、腸活・菌活で注目される一方、体質によってはガスやお腹の張りが出ることがあります。難消化性デキストリンは水に溶けやすく、飲み物などにも使いやすい水溶性食物繊維です。

サイリウム、イヌリン、難消化性デキストリンの違いについては、別の記事で詳しく解説します。

よくある質問を確認したところで、改めて記事全体のポイントを「まとめ」として整理しておきます。

まとめ

ここまで記事を読んでいただいてありがとうございました。

難消化性デキストリンの食物繊維としての働きや、便通への影響についてお分かりいただけましたでしょうか。

もう一度まとめると、

  • 難消化性デキストリンは、トウモロコシなどのデンプンから作られる水溶性食物繊維の一種
  • ヒトの消化酵素では消化されにくく、大腸まで届いてその一部が腸内細菌に利用される
  • 腸内細菌に利用されて、短鎖脂肪酸などの物質が作られることで、腸内環境の維持や排便習慣に関与する
  • 始める時は少量から始めて、摂取量の目安を守ることが重要

となります。

難消化性デキストリンは、便通や腸内環境を整える選択肢の一つですが、体質や摂取量によって合う・合わないがあります。

まずは少量から始め、便の状態やお腹の調子を見ながら、無理なく取り入れていくことが大切です。

この記事が、皆様の健康増進と病気の予防のために、少しでもお役に立てれば幸いです。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

参照文献

  1. 消費者庁. 特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領. 最終改正:2025年4月23日.
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses/notice/assets/food_labeling_cms206_20250423_04.pdf
  2. U.S. Food and Drug Administration. Questions and Answers on Dietary Fiber. Updated July 25, 2024.
    https://www.fda.gov/food/nutrition-food-labeling-and-critical-foods/questions-and-answers-dietary-fiber
  3. 里内美津子, 若林茂, 大隈一裕, 藤原啓子, 松岡瑛. 難消化性デキストリンのヒト便通に及ぼす影響. 栄養学雑誌. 1993;51(1):31-37. doi:10.5264/eiyogakuzashi.51.31
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  10. 前田栄彰. 難消化性デキストリンの特性と用途. 砂糖類・でん粉情報. 2015年9月号. 農畜産業振興機構.
    https://www.alic.go.jp/joho-s/joho08_000547.html
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この記事を書いた人

大腸肛門科医
【経歴】弘前大学医学部卒業▶︎横浜市立大学研修医▶︎神奈川県立がんセンター・大腸外科▶︎社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター▶︎2018年から草加西口大腸肛門クリニック院長
●診療理念『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
●大腸とおしりの悩みを解決します!

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