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虚血性腸炎の原因と予防法は?【専門医が徹底解説】

「突然、お腹が痛くなった…」「下痢や血便が出た…」

そんな症状に驚いて病院に駆け込んだ結果、

『虚血性腸炎(虚血性大腸炎)』と診断された方も多いのではないでしょうか?

「どうして私は虚血性腸炎になったんだろう?原因があるのかな?」

「予防のためにできることはないかな?」

この記事では、最新のガイドラインや論文を参考にしながら、皆さんのこのような疑問を解決していきます。

この記事の内容

  • 虚血性腸炎とは?
  • 虚血性腸炎の原因
  • 虚血性腸炎の予防のためにできること
  • 虚血性腸炎に関するQ&A

この記事の信頼性

この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

埼玉県草加市にある、草加西口大腸肛門クリニックの院長です。

また、大腸と肛門の専門医であり指導医でもあります。

そして、毎年約1,000件の大腸内視鏡検査を行っています。

これを読めば、『虚血性腸炎の原因と予防法』が分かります。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

それでは始めていきましょう。

目次

虚血性腸炎とは?

虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)とは、大腸の血流が一時的に悪くなり、腸の粘膜が炎症を起こす病気です。

簡単に言うと、大腸の「軽い心筋梗塞」のようなものです。

虚血性腸炎は通常左側の腸に起こり、比較的軽症で済むことが多いのですが、

右側の腸の大腸虚血では重症化しやすく、手術が必要になるケースも報告されています。

また、高齢者動脈硬化糖尿病といった基礎疾患を持つ人は、

虚血性腸炎のリスクが高いことが国際的な研究でも明らかになっています。

虚血性腸炎の原因

1. 便秘による腸管の圧迫

最も多い原因が 便秘 です!

腸内に便が溜まりすぎると、大腸の血管が圧迫され、血流が悪くなります。

その結果、大腸の粘膜がダメージを受け、炎症や潰瘍が起こります。

特に 高齢者や女性に多い のが特徴で、便秘気味の方は要注意です!

また、便秘による腸内圧の上昇が血流低下を引き起こし、虚血性腸炎のリスクを高めることが報告されています。

2. 動脈硬化と血管の狭窄

動脈硬化 によって血管が狭くなると、大腸への血流が低下します。

特に 脾彎曲(ひわんきょく)部やS状結腸 などの、

「ウォーターシェッド領域(血流が乏しい部位)」が影響を受けやすく、

そこに炎症が起こることが多いです。

さらに、高血圧、糖尿病、慢性腎疾患 などの基礎疾患を持つ方では、

血管の柔軟性が低下し、虚血性腸炎を発症しやすいことが報告されています。

3. 血栓や塞栓

腸の心筋梗塞というだけあって、血栓や塞栓(血の塊や異物による血管閉塞)が原因になります。

特に、心房細動や心筋梗塞などの心臓疾患 を持つ人では、

心臓内で形成された血栓が腸の動脈に流れてきて塞栓を起こすことがあります​

4. 低血圧や脱水

心不全、大量出血、ショック、手術や麻酔の影響で低血圧となり、

腸への血流が低下することが虚血性腸炎の原因となります。

また、下痢や利尿剤の使用、過度の発汗や水分摂取不足により脱水となり、

血液の粘度が上昇することで血流が低下し、虚血を引き起こす要因となります​。

5. 薬の影響

血管収縮作用や血流低下を引き起こす薬 は、虚血性腸炎のリスクを高める可能性があります。

代表的な薬として以下のものが挙げられます。

  • 経口避妊薬(ピル)
  • 降圧薬(特にβ遮断薬)
  • 利尿剤
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • 経口充血除去薬(プソイドエフェドリン、フェニレフリン)

6. 精神的ストレスとライフスタイル

ストレスがかかると交感神経が活発 になり、血管が収縮して腸の血流が低下します。

また、最近の研究では 喫煙、過度な運動、過剰なアルコール摂取も虚血性腸炎のリスクを高める要因であると報告されています。

予防のためにできること

1. 便秘の予防

  • 食物繊維 を積極的に摂る(野菜・果物・海藻・発酵食品など)
  • 水分補給をしっかり 行う(1日1.5L以上)
  • 適度な 運動(ウォーキングやストレッチ) を習慣化する

「毎日スムーズに排便できる腸」を目指しましょう!

2. 血管を健康に保つ

  • バランスの取れた食事(塩分控えめ・良質な脂質をとる)
  • 血圧や血糖値の管理(定期的な健康診断を受ける)
  • 禁煙・節酒(タバコは血管を収縮させます!)

3. 脱水を予防する

低血圧や脱水は虚血性腸炎の重要なリスク要因になります。

日頃からこまめな水分摂取を心がけることで、脱水を予防していきましょう。

特に高齢者の場合は、喉が渇く前に水を飲む習慣をつけることが大切です。

4. ストレスを減らす

  • 深呼吸や瞑想でリラックス
  • 趣味や運動で気分転換
  • 十分な睡眠 をとる(7時間以上推奨)

ストレスは万病のもとです!

日頃からストレスの多い生活をしている方は、

腸だけでなく、体全体の健康を考えて、 少しだけ「ゆるく生きる」 ことを意識してみましょう。

まとめ

ここまで記事を読んでいただきましてありがとうございました。

『虚血性腸炎の原因と予防法』についておわかりいただけましたでしょうか。

今回の記事をまとめると以下になります

  • 虚血性腸炎の原因は「血流の低下」
  • 便秘・動脈硬化・血栓・脱水・薬・ストレス・生活習慣が主な原因
  • 最新の研究でも、基礎疾患を持つ人のリスクが高いことが示唆されている

「突然の腹痛や下痢と血便…」

そんなときは 「ただの一時的なストスによるものだろう」と自己判断せず、早めに医療機関を受診 してください。

腸活を習慣にして、いつまでも健康な毎日を送りましょう!

この記事が

  • 皆様の健康維持
  • 皆様の病気の早期発見・早期治療
  • 皆様が大腸肛門科を受診する際の不安の軽減

これらのためにお役に立てれば幸いです。

『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』

草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)

草加西口大腸肛門クリニックのHPはこちら▶︎▶︎▶︎草加西口大腸肛門クリニック

参考文献

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  9. Increases Risk for Diverticulitis and Diverticular Bleeding. Gastroenterology. 2011; 140: 1427-1433
  10. 貝瀬 満,岩切勝彦:大腸憩室疾患の現況ー予防から治療までー.日内会誌;107: 571-578, 2018
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この記事を書いた人

大腸肛門科医
【経歴】弘前大学医学部卒業▶︎横浜市立大学研修医▶︎神奈川県立がんセンター・大腸外科▶︎社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター▶︎2018年から草加西口大腸肛門クリニック院長
●診療理念『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
●大腸とおしりの悩みを解決します!

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