「最近便が細いのが気になって…」
「便が鉛筆のように細いんです…」
とクリニックに来院される方がいらっしゃいます。
便の太さには個人差がありますが、明らかに細い状態が続く場合は、大腸に異常がある可能性もあります。
この記事では、便が細い原因となる病気について説明をしていきます。
この記事の内容
- 便が細くなるとは?
- 便が細くなる3つのパターン
- 便が細くなる原因となる病気
- 便が細くなったときにはどうすればいいか
- 便が細くなったら【大腸がん】に要注意!
- 草加西口大腸肛門クリニックでの【便が細くなった】ときの診療
この記事の信頼性
この記事を書いた私の名前は「金澤 周(かなざわ あまね)」です。

この記事を読めば、『便が細くなる原因となる病気』について理解が深まり、適切な対処のきっかけになります。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
それでは始めていきましょう。
この記事は、草加西口大腸肛門クリニックの院長が専門医の立場から執筆しています
便が細くなるとは?
通常の便はある程度の太さがありますが、いつもより「細くなった」と感じた場合、それは腸の中で何らかの変化が起きているサインかもしれません。
便が細くなる原因としては、一時的な腸の動きの乱れから、腸の通り道が狭くなるような病気までさまざまです。
特に、細い便が続いたり、出にくさや残便感、血便などを伴う場合には、早めの医療機関受診が大切です。
便が細くなる3つのパターン
便が細くなる原因として、大きく以下の3つのパターンが考えられます。
大腸の通り道が狭くなっている
大腸の中が何らかの原因で狭くなると、便が通りにくくなり、結果として細い便になります。
特に注意が必要なのは大腸がんです。
進行がんでは、腫瘍により腸の通り道が狭くなり、便が細くなることがあります。
他にも大腸ポリープや炎症後の瘢痕狭窄なども原因になります。
便が軟らかい
便が軟らかいと、腸内で十分な形を保てず、細い便として排出されることがあります。
過敏性腸症候群(IBS)や、下剤の使用などが原因として多いです。
肛門の出口が狭くなっている
便が通る最終段階である肛門部が狭くなると、便が押しつぶされるように細くなって出てきます。
これは、
- 慢性的な切れ痔(裂肛)
- 肛門手術後の瘢痕形成(ひきつれ)
などによる肛門狭窄が主な原因です。
便が細くなる原因となる病気
ここからは便が細くなる原因となる病気についてみていきます。
大腸がん
さきほども出てきましたが、進行大腸がんでは、腫瘍により腸の通り道が狭くなり、便が細くなることがあります。

通常の大腸は空洞になっていますが、進行大腸がんがあると上の写真のように腸の通り道が矢印のように狭くなってしまいます。
この狭い部分を便が通るので便が細くなります。
便が通りにくくなるので、便秘になったり、便が通るときに腹痛となったり、こすれて出血をすることもあります。
さらに腫瘍が大きくなって、通り道が鉛筆くらいになると、下痢でしか出なくなります。
さらに進行すると、完全につまってしまい、腸閉塞となり緊急入院が必要となります。
- 最近は便が細い
- 最近は下痢でしか出ない
- 少し前から便秘気味でお腹も痛い
- 便が出にくくて出血もする
こんな症状のときは大腸がんかもしれません!
早めに病院を受診して相談をしてみてください。
大腸がんについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

大腸ポリープ
大腸ポリープは良性の病気ですが、サイズが大きくなると腸が狭くなり、便が細くなる原因となります。
大腸ポリープの一部はがん化するリスクもあるので注意が必要です。
大腸ポリープについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

炎症性腸疾患(IBD)
潰瘍性大腸炎やクローン病は炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)は、
若い方に多い腸に炎症が起こる病気で、治療法が見つかっていないため難病に指定されています。

腸の慢性炎症により粘膜が腫れたり、狭窄が生じることで便が細くなることがあります。
下痢、血便、腹痛などを伴うことが多いです。
潰瘍性大腸炎について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、
腸の運動異常や知覚過敏などが原因で便通異常が起こる病気です。
便が軟らかくなることで便が細くなることもあります。
慢性的な腹痛やお腹の張りを伴うことが多く、生活習慣の見直しやストレスケアが重要です。
過敏性腸症候群について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

肛門狭窄
繰り返す切れ痔や肛門手術の影響、外傷などにより肛門が狭くなる状態を肛門狭窄といいます。
便の通貨が物理的に制限されるため、便が細くなったり、排便時に痛みを伴ったりします。
薬の治療では治りにくく、ブジーという拡張処置や、肛門の拡張手術が必要になることもあります。
下剤の使用

慢性的な便秘のために、日頃から下剤を内服している場合、
便が軟らかくなり、結果として細い便が出ていることがあります。
細い便しか出なくて気になる場合は、薬の見直しをすることも重要です。
便が細くなったときにはどうすればいいか
便が一時的に細くなることは、体調や食事の影響によることもあるため、特に心配する必要はありません。
しかし、以下のようなケースに当てはまる場合は、重大な病気のサインの可能性があるため、注意が必要です。
便が細い状態が2週間以上続く

2週間以上も細い便が続く場合は、大腸がんなどの病気の可能性もあります。
早めに病院を受診して、大腸内視鏡検査などの検査を受けましょう。
血便や下血がある

血便(赤い血が混ざった便)や下血(黒っぽい血が混ざった便)は、大腸からの出血が疑われます。
特に、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの可能性があるため、絶対に放置はしないでください。
早めに大腸肛門科などを受診して、大腸内視鏡検査を受けましょう。
腹痛や体重減少がある
細い便に加えて、慢性的な腹痛や体重減少がある場合は、大腸の病気の可能性があります。

特に大腸がんは、初期には症状が出にくいです。
大腸がんが増えてくる40歳以降の方で、気になる場合は早めに病院を受診しましょう。
また、若い方の場合は、炎症性腸疾患などの可能性もあるので、放置せず早めに病院を受診してください。
排便後にすっきりしない(残便感)が続く
便が細くなり、排便後も「出しきれていない」感じがして、すっきりしない場合は、
肛門の近くの大腸がん(直腸がん)などによる直腸狭窄の可能性もあります。
残便感が続く場合は、「便秘や痔だろう」と自己判断して放置せず、病院で相談をしてみてください。
便が細くなったら大腸がんに要注意!
これまでものべてきましたが、便が細くなる原因の中で一番注意すべきは『大腸がん』です。
日本では大腸がんの発生率は増加傾向にあります。

特に、上の図のように40歳を超えると大腸がんにかかる人が増えてきます。
このため、40歳以上の方は定期的な大腸内視鏡検査が推奨されています。
また、家族に大腸がんの方がいる場合もリスクは上がります。
便が細くなる症状が続く場合は、
「便秘や痔のせいかな」と自己判断せずに、大腸肛門医などの専門医の診察を受けることが大切です。
草加西口大腸肛門クリニックでの【便が細くなった】ときの診療

「最近、便が細い気がする」
「いつもと形が違う」
といった便の変化を感じて、クリニックを受診されるかたもいらっしゃいます。
まずは問診で、排便の頻度や便の状態、出血の有無、腹痛や体重減少の有無などを丁寧に確認します。
あわせて、食生活や日常の習慣、下剤や整腸剤などの薬の使用状況もうかがい、便が細くなった背景を総合的に把握します。
その上で、腹部診察や肛門の診察を行い、肛門狭窄の有無などを確認します。
必要に応じて、大腸がんや炎症性腸疾患などの大腸の病気がないかを調べるため、大腸内視鏡検査を行います。
当院では、「おなかとおしりのトータルケア」をモットーに、
専門医が一人ひとりの症状に応じた適切な診療を行っています。
便の形の変化は、腸からの重要なサインかもしれません。
「気になるけど様子を見よう」と放置せず、早めにご相談ください。
まとめ

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
『便が細くなる原因となる病気について』お分かりいただけましたでしょうか。
一時的に便が細くなることは誰にでもありますが、
- 便が細いのが2週間以上続く
- 血便・下血もある
- 慢性的な腹痛・体重減少もある
- 残便感が続く
といった症状がある場合は、大腸がんや炎症性腸疾患などの病気の可能性もあります。
「とりあえず様子をみよう」自己判断で放置せずに、必ず病院を受診してください。
この記事が、
- 皆様の健康維持
- 皆様の病気の予防・早期発見・早期治療
- 皆様が大腸肛門科を受診する際の不安の軽減
これらのためにお役に立てれば幸いです。
『あなたとあなたの大切な人の健康と未来を守るために』
草加西口大腸肛門クリニック 院長 金澤 周(かなざわ あまね)
当院の診療について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください